第1章

 1 多くの部分に分けて、多くの方法で、神は昔、預言者たちによって先祖たちに語られましたが、
2 この終わりの日に、御子である方によって私たちに語られました。神はこの方を万物の相続者に定め、この方によって諸時代をつくられました。
3 御子は神の栄光の輝き、また神の本質の正確な表現。
  万物をご自身の力ある言葉によって保っておられる。
  御子は罪のきよめをなし終えた後、
  いと高き所におられる偉大な方の右に着座された。
4 御子は御使いより、はるかに優れた方となられたので、
  それだけ彼らより優れた名を相続された。
 5 神はかつてどの御使いに対して、こう言われたことがあるでしょうか。
 「あなたは私の子。今日、私はあなたを生んだ」
さらにまた、
 「私は彼にとって父となる。彼は私の子となる」と。
6 また、神が再びその長子を世に遣わす時、神はこう言われます。
 「神の御使いたちは皆、彼を礼拝せよ」
7 また、御使いたちに関してはこう言われます。
 「神はご自分の御使いたちを風に変え、
  仕える者たちを火の炎とされる方」
8 しかし、御子に関してはこう言われます。
 「神よ、あなたの王座は永遠から永遠に続く。
  あなたの王国の杖は義の杖。
9 あなたは義を愛し、無法を憎んでおられる。
  それゆえ、神よ、あなたの神は
  あなたに喜びの油を注がれた。
  あなたの友よりも多く。」
10 また
 「主よ、あなたは
  初めに、地の基を据えられた。
  諸天はあなたの御手のわざ。
11 それらは滅びるが、あなたは永らえ続ける。
  それらは全て衣のように古び、
12 外套のように、あなたはそれらを巻き、
  着物のように、それらは変わる。
  しかし、あなたは全く同じであられ、
  あなたの歳は尽きることがない。」
13 御使いたちの誰に対して、神はこれまでに、こう語られたことがあるでしょうか。
 「私があなたの敵をあなたの足の下に置くまで、
  あなたは私の右に座していなさい。」
14 彼らは全て、救いを受け継ごうとしている人々のために、助けを与えるために遣わされている奉仕の霊ではないですか。

第2章

 1 ですから、私たちは(知らない間に)押し流されることのないように、聞かされたことに一層深く注意を払う必要があります。
2 なぜなら、御使いを通して語られた言葉でさえ確証されていて、全ての反逆と不従順が当然の裁きを受けたのですから、
3 この救いを軽んじるなら、恐るべき(裁き)から逃れることは到底できないからです。この救いは、主によって語られ始め、それを聞いた人々によって私たちに確証され、
4 神も、しるしと不思議と力ある働き、すなわち御心に従った聖霊の(力の)分与によって証しておられるからです。
 5 神は、私たちが今話題にしている、来るべき世界を御使いたちには従わせないと決めておられます。
6 それで、ある人は(聖書の)ある箇所で厳粛に証言して、こう語っています。
 「人間がいったい何者なので、
  あなたは彼を心にかけられるのですか。
  また、人の子がいったい何者なので、
  あなたは彼に熱い目を注がれるのですか。
7 あなたは彼を御使いたちよりも、
  いくらか低くしましたが、
  彼に栄光と誉れの冠をかぶらせ、
8 全てのものを彼に従わせました。」
  さて、神が全てのものを彼〈人間〉に従わせたと言われるからには、全てのものが、一つ残らず彼〈人間〉に従っていなければならないはずですが、現在、私たちはまだ、全てのものが彼〈人間〉に従っているのを見ていません。
9 しかし「御使いたちよりも、いくらか低くされている」方、イエスが、死の苦しみのゆえに──キリストは神の恵みのゆえに全ての人のために死を味わわれました──「栄光と誉れの冠をかぶって」おられることを見ています。
 10 すなわち、多くの子たちを栄光に導き入れるために、彼らのこの救いのリーダーを、苦しみを通して完成されたことは、実に万物をご自分のために、また万物をご自分の力によって創造された神にふさわしいことです。
11 それは、聖める方と聖められる者たちが共に、全て一人の人から発しているからです。それゆえ、彼〈イエス〉は、彼らを兄弟と呼ぶことを恥とせずに、
12 こう語っておられます。
 「私は私の兄弟たちに、あなたの御名を宣言します。
  集会の直中で、私はあなたを賛美します」
13 さらにまた(こう語っておられます)。
 「私は彼に全き信頼を置き続けます」
 さらにまた(こう語っておられます)。
 「見よ。私と、神が私に与えてくださった子たち」。
14 それで、子たちが血と肉にあずかっているので、彼ご自身も同様に同じものをとられました。それは、その死によって、死の力を持つ者であるサタンを支配の座から引き降ろし、
15 一生涯、死の恐怖の奴隷の状態で捕らえられていた者たちを解放するためでした。
16 なぜなら、確かに彼〈イエス〉は御使いたちの姿を取らず、アブラハムの子孫と同じ姿を取られたからです。
17 そういうわけで、彼〈イエス〉は全ての点で、兄弟たちに似なければならなかったのです。それは、彼〈イエス〉が、神との関係における、恵み深い真実な大祭司となって、人々の罪を贖ういけにえを献げるためでした。
18 彼〈イエス〉は、その苦しみの中で試練を受けたので、試練に遭っている者たちに助けをお与えになることができるのです。

第3章

 1 そういうわけで、天からの召しにあずかっている聖なる兄弟たちよ。私たちが信仰を告白している使徒であり、大祭司であるイエスについて、よく注意を払いなさい。
2 ――モーセは神の全家の中で忠実でしたが、彼〈イエス〉は彼を任命された方に対して忠実でした――
3 なぜなら、この方はモーセよりも、はるかに大きな栄光を受ける価値があると認められているからです。それは、家を建てた者が家よりもはるかに大きな誉れを受けるのと同じです。
4 なぜなら、家は全て誰かによって造られるものですが、全ての物を造られたこの方は神だからです。
5 また、一方でモーセは、後に告げられる事柄について証しするのために、使用人として神の家の中で忠実でしたが、
6 他方キリストは、御子として神の家全体の上にあって忠実でした。この神の家とされているのが私たちなのですから、(当然のこと)この希望についての大胆な告白と明白な証言を堅く保ち続けるはずです。
 7 それゆえ聖霊は、こう語っておられます。
 「今日、もし神の御声を聞くなら、
8 荒野での試練の日に怒りを引き起こした時のように、
  あなた方の心をかたくなにしてはならない。
9 そこで、あなた方の先祖たちは、
  私の心を判定しようと私を試験した。
10 そして四十年間、私のわざを見た。
  それゆえ私はこの世代に対して怒り、
 『彼らの心は常に迷っている。
  彼らは私の道を知らない』と言った。
11 それで私は怒りをもって誓った。
 『彼らは決して私の安息に入れない』と。」
 12 気を付けていなさい。兄弟たちよ、あなた方の中の誰か一人の者の(心の)中にでも、生ける神から離れようとする不信仰の悪い心が現れないように。
13 むしろ「今日」と言われている間に、毎日互いに励まし合い続けて、あなた方の中の誰も、この罪の惑わしによって心をかたくなにしないようにしなさい。
14 なぜなら、私たちはキリストにあずかる者とされているので(当然のこと)終わりまで信仰告白の主要点を堅く保つはずだからです。
15 それゆえ「今日」と言われている間に「もし神の御声を聞くなら、荒野での試練の日に怒りを引き起こした時のように、あなた方の心をかたくなにしてはならない」のです。
16 では、聞いていながら神を怒らせたのは誰ですか。実に、モーセによってエジプトから出てきた全ての者ではありませんか。
17 主が、四十年間、怒られたのは誰に対しててすか。荒野で死んだ、あの罪を犯し続けた人々に対してではありませんか。
18 神が神の安息に入らせないと誓われたのは、信じることを拒んだ人々に対する以外に、誰に対してですか。
19 それで、彼らが(カナンの地の安息に)入ることができなかったのは、不信仰のゆえであったことは明白です。

第4章

 1 ですから、あなた方の中の誰一人でも、神の安息に入る約束がなおざりにされたために、道から落ちてしまっていることが明白になることが決してないように、私たちは十分に注意しようではないですか。
2 なぜなら、私たちも彼らと同じように福音を十分に聞かされているのですが、彼らの聞いた御言葉は、聞いた彼らと、信仰によって、しっかり結び付いていなかったので、彼らの役に立たなかったからです。
3 なぜなら(一度限りの決断として)はっきりと信じた私たちが、この安息に入るのだからです。
 ですから、世界の創造の時以来、御わざは完了しているのに、神はこう語られたのです。
 「私は怒って誓った。
  彼らは決して私の安息に入れない。」
4 なぜなら、神はある箇所で第七日について「神は第七日に、神の全ての御わざを休まれた」と語っておられるのに、
5 ここでは再び「彼らは決して私の安息に入れない」と語っておられるからです。
6 と言うことは、安息に入るべき者たちがまだ残されている〔備えられている〕(ことを意味している)からです。そして、前に福音を聞かされた者たちは、不信仰のゆえに入らなかったのですから、
7 もう一度、神はある日を「今日」と定めて、かなり日を経て後、ダビデの詩の中で「今日、もし神の御声を聞いたなら、あなた方の心をかたくなにしてはならない」と、先に引用したように語っておられるのです。
8 なぜなら、もしヨシュアが彼らを休ませたのであれば、神がその後に他の日について語られることはなかったはずだからです。
9 したがって、安息日の休みは(真の信仰者である)神の民のために、まだ備えられているのです。
10 なぜなら、この神の安息にすでに入った人〔方〕は、神がご自分のわざを終えて休んだように、彼自身の働きを終えて休んだからです。
11 ですから、私たちは、誰も同じ不信仰の例にならって落伍する者がないように、この安息に入ることに(決断して)熱中しようではないですか。
 12 なぜなら、神の言葉は生きていて、活動的であり、どんな両刃の剣よりも鋭く、魂と霊、関節と骨髄の分かれ目さえも刺し通し、心の中の考えと意志とを裁いて明らかにする力を持っているからであり、
13 また、神の前にあらわでない被造物は一つもなく、全てが神の御目に裸であり、露わにされていて、私たちはこの方に報告書を出すことになるからです。
 14 それで私たちには、神の御子イエスが、諸天を通って昇っておられる偉大な大祭司となっておられるのですから、この告白を堅く保ち続けようではないですか。
15 なぜなら、私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではなく、罪(の性質)以外の全ての点で(私たちと)同じ姿〔肉体〕で、試練を受け、(その力が)証明されている大祭司だからです。
16 ですから私たちは、必要な時の助けとなる、憐れみを受け、恵みを得るために、恵みの御座に大胆に近づき続けようではないですか。

第5章

 1 なぜなら、大祭司は全て、神との関係における事柄のために、人々の中から選び出され、人々のためにささげ物と、罪のためのいけにえとをささげるために立てられますが、
2 自分自身も弱さを持っているので、無知で迷っている者を思いやることができるからです。
3 そして、その弱さのゆえに、人々のためと同時に、自分のためにも罪のためのいけにえを献げなければなりません。
4 また大祭司の誰も、自分でこの誉れある地位に就くのではなく、アロンのように神に召されて任じられます。
 5 同様にキリストも、大祭司になるという栄誉を自分で得たのではなく、彼に向かって「あなたは私の子だ。この私が今日あなたを生んだ」と語られた方が任命されました。
6 他の箇所で神が「あなたは永遠にメルキゼデクの地位に従った祭司である」と語っておられるとおりです。
7 この方は、人としてこの世におられた時、ご自身を死から救い出すことのできる方に向かって、大きな叫びと涙とをもって、祈りと願いをささげられました。そしてその敬虔さのゆえに聞き入れられました。
8 御子であられるのに、主は経験された苦しみによって、あの従順を実習されました。
9 そして、完成された後、主はご自分に聞き従う全ての者のために、永遠の救いの源となられ、
10 神によって、メルキゼデクの地位に従った大祭司に任命されました。
 11 この方について、私たちには語るべき言葉が沢山ありますが、あなた方の耳が鈍くなってしまっているので、説明が困難です。
12 なぜなら、あなた方は年月からすると教師になっているはずですが、神の啓示についての初歩の教えを、誰かが再びあなた方に教える必要があり、固い食物ではなく、乳を必要とするようになっているからです。
13 乳を飲んでいる者は皆、幼児で、義の言葉については無知です。
14 しかし、固い食物は、経験によって感覚を鍛えられて、善と悪とを判別する能力を持っている大人のものです。

第6章

1 それゆえ、私たちはキリストについての初めの教えを後にして、成熟を目指して前に進ませていただきましょう。再び、死んだ行いからの悔い改め、神への信仰、
2 様々の洗いについての教え、手を置くこと、死者たちの中からの(義人の)よみがえり、(悪しき者の)永遠の裁きなどの、基礎に戻ることをやめて、
3 神が許して下さるなら、前に進ませていただきましょう。
4 なぜなら、一度光を受け、天的な賜物を味わい知り、聖霊(の働き)に与る者となり、
5 (語られた)神の良い御言葉と、来るべき国の力ある働きとを味わい、
6 道から外れてしまった者を、再び悔い改めに立ち返らせることは、彼らが自ら神の御子を十字架につけていて、公に侮辱を与えている以上、不可能だからです。
7 なぜなら、土地がたびたび降る雨を吸い込み、耕す人にも良い作物を生じているなら、神から祝福を受けますが、
8 いばらやあざみを生えさせているなら、役に立たず、間もなく呪われ、最後は焼かれてしまうからです。
 9 しかし、愛する者たち。私たちはこのように語ってはいますが、あなた方については、さらに良いこと、すなわち救いを持っていると確信しています。
10 なぜなら、神はあなた方のあの働きと、あなた方が今もこれまでも聖徒たちに仕えることによって、神の御名のために示したあの愛を、忘れてしまうような不公平な方ではないからです。
11 ですから、あなた方の一人ひとりが終わりまで、その希望の完全な達成に向けて〔または:その希望への完全な確信に基づいて〕同じ熱心さを示し続けることを私たちは切望しています。
12 それは、あなた方が怠け者にならずに、むしろ信仰と忍耐によって約束のものを相続するあの人々を見習う者になるためです。
 13 なぜなら、神はアブラハムに約束をお与えになる時、指して誓うための、ご自分より偉大な者がいないため、ご自分を指して誓い、
14「確かに、私はあなたを祝福して、なお祝福し、
  増し加えて、なお増し加えよう」と語られ、
15 こうして、彼は忍耐のすえに約束のものを手に入れたからです。
16 なぜなら、人々は自分より偉大なものによって誓いを立て、人々にとって(約束の成就の)保証のための誓約が全ての異議を終わらせるからです。
17 それゆえ神は、約束の相続者たちに、神の決意の変わらない事を一層明確に示すため、誓約によって保証されたのです。
18 こうして、これら二つの不変の事柄によって──神はこれら二つの事柄のために偽ることができません──前に置かれている望みを捕らえるために、隠れ場へ逃れて来た私たちがは、力強い励ましを受け続けるのです。
19 この望みは私たちのたましいのための安全で確かな碇であり、しかも幕の内側にまで入っている〔達している〕碇です。
20 そこに、メルキゼデクの地位に従って永遠に大祭司となったイエスが、私たちのために先駆けとして入られたのです。

第7章

1 なぜなら、このメルキゼデクはサレムの王、また、いと高き神の祭司であり、王たちを撃破して帰って来たアブラハムに会い、彼を祝福し、
2 アブラハムも、この人に全ての物の十分の一を分け与えたからです。この人は、第一に義の王と呼ばれ、次にサレムの王、すなわち平和の王です。
3 〔記録には〕父がなく、母もなく、系図もなく、生まれた日も人生の終わりの日もないばかりか、神の子に似た者とされ、いつまでも祭司の職にとどまり続けています。
 4 それで、この人がどれほど偉大であるかをよく考えなさい。族長であるアブラハムが、戦利品の最良の物の中から十分の一をこの人に献げたのです。
5 また、一方で、祭司の職を受けたレビの子孫に属する人々は、アブラハムの腰から出てきたにもかかわらず、律法に従って民衆から──すなわち、彼らの兄弟たちから──十分の一を受け取るように命令を受けています。
6 他方、彼らの血統とは無関係のこの人〔メルキゼデク〕が、アブラハムから十分の一を受け取っていて、約束を受けている人〔アブラハム〕を祝福しています。
7 例外なしに、劣っている者が上位の者から祝福されるものです。
8 一方で、死ぬべき人々〔レビ系祭司〕が十分の一を受けていますが、他方で、生きていると証しされている人〔メルキゼデク〕が十分の一を受けています。
9 そして、いわば十分の一を受けているレビは、アブラハムを通して(メルキゼデクに)十分の一を納めているのです。
10 それは、メルキゼデクがアブラハムに会った時、レビは父の腰の中にいたからです。
 11 さて、もしレビ系の祭司職によって(約束を)成就できたのなら──民はこの祭司職を基礎として律法を受けたのです──どうしてなお、アロンの地位に従った、とは言われない別の、メルキゼデクの地位に従った祭司が任命される必要があったでしょうか。
12 実のところ、祭司職が変更されれば、必然的に律法も変更になります。
13 なぜなら、今こう語っている当の方は(レビ族とは)別の、祭壇に仕える者を一人も出したことのない部族に属しておられるからです。
14 なぜなら、モーセが祭司職に関することは何も語らなかったユダ族から、私たちの主が出られたことは明らかだからです。
15 さらに、メルキゼデクの型に従った別の祭司が立てられたので、このことは一層明瞭です。
16 この方は、肉〈血統〉に関する律法の戒めに従ってではなく、滅びることのないいのちの力に従って(大祭司に)なっておられます。
17 なぜなら「あなたは永遠にメルキゼデクの地位に従った大祭司である」と証言されているからです。
18 なぜなら、一方で、その弱さと無益さとのゆえに、前の律法の廃止が行われようとしています。
19 なぜなら、律法が何一つ成就しなかったからです。しかし他方で、一層優れた希望との交替が行われました。この希望によって、私たちは神に近づき続けます〔神を礼拝します〕。
 20 さらに、なおのこと(この方が立てられたのは)誓いなしにではないのですから――というのも、一方で、祭司たちは(神の)誓いなしに祭司になっていますが、
21 他方、実にこの方は「主は誓われた。そして後悔することは決してない。あなたは永遠に祭司である」と、この方に対して語っておられる方による誓いによって祭司になっているからです――
22 なおのこと、イエスははるかに優れた契約の保証人になられたのです。
23 また、多くの者たちが(レビ系の)祭司になってきましたが、死のゆえに祭司職に留まり続けることが妨げられています。
24 しかし、この方は、永遠に生きているので、不可侵の祭司職を保っておられます。
25 ですから、この方は常に生きていて彼らのためのとりなしの働きをしておられるので、彼を通して神に近づいてくる者たちを、どのような時にも完全に(決定的に)救い続けることができるのです。
 26 ですから、このように聖く、悪意なく、汚れなく、罪人から全く分離し、諸天よりも高くにおられる、このような大祭司こそ、実に、私たちにふさわしい大祭司であられるのです。
27 この方には、あの大祭司たちのように毎日、最初に自分自身のために、次に民の罪のためにいけにえをささげる必要はありません。なぜなら、この方はご自身をささげることによって、ただの一度だけで、このことを成し遂げられたからです。
28 なぜなら(モーセの)律法は弱さを持っている人間たちを大祭司に任命していますが、その律法の後の誓約の御言葉は、永遠に完成しておられる御子を大祭司に任命したからです。

第8章

 1 さて、今語っていることを要約すると、私たちは、今、天にいます全能者の御座の右に着座されたすばらしい大祭司を持っているということです。
2 この方は聖所で、すなわち人間ではなく主がお建てになった真の幕屋で、仕えておられます。
3 祭司は皆、ささげ物といけにえを献げるために任命されるので、この方もささげるべき物を何か持っていなければなりません。
4 しかし、この方は仮に地上におられても(地上で)祭司の働きをされることはあり得ません。なぜなら、地上には律法に従ってささげ物を献げる者たちがいるからです。
5 その人たちは、天にある物の型と影によって礼拝しています。それに関して、幕屋の建築に取りかかろうとしていたモーセが、次のように警告を受けたとおりです。
 「見よ、主は語っておられる。
  あなたは山の上であなたに示された型に従って
  全てを造らなければならない。」
6 しかし、今やこの方は、はるかに優れた約束に基づいて制定されている、はるかに優れた契約の仲介者でもあるので、それだけ優れた働きを獲得しておられます。
 7 なぜなら、もし初めの契約に欠点がなかったなら、第二の契約の活動の場が求められることはなかったはずだからです。
8 なぜなら、神は彼らを非難して次のように語っておられるからです。
 「見よ。日が来ようとしている。主は言われる。
  私はイスラエルとユダの家の上に
  新しい契約を制定する。
9 それは私が彼らの先祖たちをエジプトの地から、
  彼らの手を取って導き出した時、
  彼らと結んだ契約のようなものではない。
  それは、彼らが私の契約に留まらなかったからだ。
  それで私は彼らをかえりみなかった。
10 それゆえ、これらの日の後に私が
  イスラエルの家と結ぼうとしている
  契約はこれだ、と主は言われる。
  私は彼らの思いに私の律法を与え
  彼らの心にそれらを書き記す。
  私は彼らの神となり、彼らは私の民となる。
11 そして、各々は自分の隣人や自分の兄弟に
  主を知れ、と言って教えることは決してない。
  それは、小さな者から大きな者に至るまで
  全ての者が私を知るようになるからだ。
12 私は彼らの不義に対して憐れみを示し
  彼らの罪をもはや決して思い出さないからだ。」
13 神は、それを「新しい」と呼ぶことで、最初のものを、使い古して役に立たなくなっていると語っておられます。古くなりつつあり、年を経てきているものは消滅しようとしています。

第9章

 1 さて、一方で、初めの契約にも礼拝の規則とこの世界に属する聖所とがありました。
2 すなわち、幕屋が(次のように)建てられました。最初の部分には、中に燭台と机と供えのパンがありました。ここは聖所と呼ばれます。
3 そして、第二の垂れ幕の後には、至聖所と呼ばれる幕屋があり、
4 そこには金の香壇と全面金で覆われた契約の箱があり、その中にはマナの入った金の壺と芽を付けたアロンの杖と契約の石版〈複数〉がありました。
5 そしてその上に、贖いの蓋を覆う栄光のケルビムがありました。今、それらについて事細かに説明(する時)がありません。
 6 さて、これらのことがこのように備えられた後で、祭司たちは第一の幕屋に礼拝を成し遂げるために常に入ります。
7 しかし、第二の幕屋には年に一度だけ、大祭司ひとりが、自分自身のためと、民が知らずに犯した罪のためにささげる血を必ず携えて入ります。
8 聖霊はこのことによって、最初の幕屋が立っている間は、(真の)聖所への道が隠されていることを明白にしておられます。
9 これは今の時代のための比喩です。それ〈モーセ律法〉に従って献げられるささげ物といけにえは、礼拝する者を良心に関する点において完全にすることはできません。
10 それらは食物と飲み物と種々の洗いなど、肉体に関わる儀式であり、改革の時が来るまで定められているだけのものであるからです。
 11 他方、キリストは、すでに成就した良き事柄の大祭司として来られたとき、人の手によって造られたのではない、さらに偉大な、完全な幕屋──それはこの世界に属していません──を通り、
12 山羊や牛の血によらず、ご自身の血によって、永遠の贖いを獲得してから、ただ一度だけ聖所に入られました。
13 なぜなら、山羊や雄牛の血や、赤い雌牛の灰が、汚れを受けた人々にかけられて、その肉体をきよめるなら、
14 まして、一点の汚れもないご自身を、永遠の御霊によって神におささげになったキリストの血は、はるかにまさって私たちの良心を死んだ行いからきよめ〔離れさせ〕、生ける神に奉仕するに至らせるからです。
 15 実に、このゆえに、キリストは新しい契約の仲介者です。最初の契約の下で(犯された)罪の贖いのための死が遂行されたので、召されている者たちが永遠の相続の約束(の成就)を受けるのです。
16 なぜなら、契約のあるところ、契約を有効にするもの〔いけにえ〕の死が献げられる必要があるからです。
17 なぜなら、契約は(いけにえの)死体の上で有効になるからです。ですから、その契約を有効にするもの〔いけにえ〕が生きている間は決して効力を持ちません。
18 ですから初めの契約も、血なしに定められることはありませんでした。
19 モーセによって、律法に従って全ての戒めが民全員に語られた後、彼は雄牛と山羊の血を、水と赤い毛糸とヒソプと共に取って、契約書と民全員にふりかけて
20 「これは神があなた方に結ばれた契約の血である」と言いました。
21 そして、幕屋と礼拝のための器具の全てにも、同様に血をふりかけました。
22 事実、律法によれば、ほとんど全てのものは血によってきよめられ、血を流すことなしには、罪の赦しもありません。
 23 ですから、一方で、天にあるものの型は、これら〔動物の血〕によってきよめられなければなりませんが、他方、天にあるもの自体は、これらよりも優れたいけにえによってきよめられなければなりません。
24 なぜなら、キリストは本物の影にすぎない、人の手によって建てられた聖所に入ったのではなく、天そのものに入り、今、私たちの(利益の)ために神の面前に(決定的に)立たれたからです。
25 キリストは、大祭司が他のものの血によって至聖所に毎年入るように、何度もご自身をささげるためではなく、
26 ──もしそうでないなら、世界の創造以来、幾度も苦しまなければならなかったでしょう──しかし今、諸時代の終わりにあたって、一度だけ、ご自身をいけにえとして献げることによって、罪(の力)を無効にするために現れてくださったのです。
27 そして、人間には一度死ぬことと、その後、裁きが定められているように、
28 そのようにキリストも、一度、多くの人の罪を負うために(ご自身をいけにえとして)献げ、二度目は、罪のきよめのささげ物とは関係なく、ご自身を切望している人々を救うために現れてくださるのです。

第10章

 1 なぜなら、律法には来るべき良きことの影はあっても、実体そのものの表現はないので、彼らが毎年献げ続ける同じいけにえによっても、神に近づく者たちを目的に到達させることができないからです。
2 もしそうでなかったなら、礼拝者たちの良心は、罪の責めの意識を一度、完全にきよめられてしまったので、罪の(責めの)意識を二度と持つことはなかったはずですから、(いけにえを)献げることは止んだはずではないですか。
3 ところが、かえって、それらによって、毎年罪が思い出されるのです。
4 なぜなら、雄牛と山羊の血は罪〈複数・犯した罪の責め〉を取り去ることができないからです。
 5 それゆえ、主は、この世界に来られるにあたって、言われました。
 「いけにえやささげ物をあなたは求められませんでした。
  それであなたは、私のために体を備えてくださいました。
6 あなたは全焼のいけにえと罪のためのいけにえを喜ばれませんでした。
7 そのとき私は言いました。
 『見よ、私は来ました。』
  巻き物の冒頭に、私についてこう書かれています。
 『神よ、あなたの御心を行うために。』」
8 以上のように、律法によって献げられる「いけにえとささげ物と全焼のいけにえと罪のためのいけにえを、あなたは求めず、また喜ばれませんでした」と述べたうえで、
9 「見よ。私はあなたの御心を行うために来ました」と主は語っておられます。神は後者を立てるために、前者を廃棄しておられます。
10 この御心によって、イエス・キリストの体が、ただ一度だけ献げられたことによって、私たちは完全に聖められてしまっているのです。
 11 また、一方で、全ての祭司は、毎日立ったまま礼拝し、同類のいけにえを何度も献げ続けますが、それらは決して罪〈複数〉(の汚れの意識)を完全に取り払うことができませんが、
12 他方、この方は、罪のために一つのいけにえを献げた後、いつまでも神の右に着座され、
13 それ以来、敵がご自分の足の足台とされる時を待っておられます。
14 なぜなら、この方は一つのささげ物によって、聖められている者たちを永遠に完全にしてしまったからです。
 15 さらに、聖霊も私たちに証しておられます。なぜなら、
16 「これが、これらの日の後に、私が彼らと結ぶ契約だ。――主は言われる――私の律法を彼らの心に与え、彼らの思いの上にそれらを必ず書き付ける」と語られた後で、
17 「私は彼らの罪と彼らの咎を、もはや決して思い出さない」と語っておられるからです。
18 このような赦しがあるところでは、もはや罪のためのささげ物はいりません。
 19 ですから兄弟たち、私たちはイエスの血によって聖所に大胆に入る特権が与えられているのですから、
20 ──それは、彼がご自身の肉体という垂れ幕を通して、私たちのために開いてくださった新たな生ける道です──
21 さらに、神の全家を監督する大祭司も与えられているのですから、
22 私たちは、心を血の振りかけによって悪い良心から完全に解放され、また体もきよめの水できよめられ(ていることを確信し)、確信に満たされた信仰をもって、真実な心で(神に)近づき続けようではないですか。
23 約束して下さった方は真実なのですから、動揺せずに、希望についての告白を堅く保ち続けようではないですか。
24 そして、愛と善行を駆り立てるように、互いによく注意し続けようではないですか。
25 ある人々の習慣にならって、互いに集まることを放棄したりせず、むしろ、かの日が近づいていることを覚えて、ますます、励まし合いながら(そうしましょう)。
 26 なぜなら、私たちが真理について十分な知識を受けた後、故意に罪を犯し続けるなら、罪のためのいけにえはもはや残っておらず、
27 ただ、あの実に恐ろしい裁き、すなわち反対者らを今にも焼き尽くそうとする、燃え盛る妬みの炎を待つだけだからです。
28 モーセの律法を退ける者は誰でも、差別なしに、二、三人の証言に基づいて憐れみの余地なく殺されます。
29 まして、神の御子を踏みつけ、自分を聖めた契約の血を汚れたものと見なし、恵みの御霊を怒らせた者が、どれ程恐ろしい裁きに価するかを考えなさい。
30 私たちは「復讐は私がする。この私が必ず報復する」と語り、さらに「主はご自分の民を裁かれる」と語られた方を知っています。
31 生ける神の御手に陥ることは、何と恐ろしいことでしょう。
 32 しかし、あなた方が以前、光を受けた後で、苦しい大きな戦いを耐え忍んだことを思い出してください。
33 あなた方は、一方、(大衆からの)非難と迫害によって見せ物にされ、他方、そのような目に遭っている人々と苦しみを分かち合いました。
34 なぜなら、あなた方は牢に入れられている者たちと共に苦しみ、あなた方の財産が奪われることも喜んで受け入れたからです。それは、あなた方自身が、一層すばらしい永続する資産を持っていることを知っていたからです。
35 ですから、大きな報いをもたらす、そのあなた方の大胆な告白を放棄してはなりません。
36 なぜなら、あなた方が神の御心を行って、約束のものを得るには忍耐が必要だからです。
37 なぜなら、しばらくすれば、
 「もう間もなく、来るべき方が来られ
  遅くなることはない。
38 私の義人は信仰によって生きる。
  後退するなら、私の心は彼を喜ばない」からです。
39 しかし私たちは、滅びに至る後退者でなく、いのちを保つ信仰者です。

第11章

 1 さて、信仰は、待ち望んでいる物の権利証であり、まだ見ていない実物(の所有権)の保証書です。
2 なぜなら、先人たちが(永続する資産を持っていることを)証しされたのは、信仰によってだからです。
 3 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕私たちは、この世界〈複数〉が神の(御口から出た)御言葉によって整えられていて、それゆえ、目に見える物が見えない物から成り立っていることに気付きます。
4 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、アベルはカインよりも、はるかに価値あるささげ物を神に献げ、それ〔信仰〕によって彼は義人であると証しされました。神が彼のささげ物について証ししてくださったからです。彼は死にましたが、それ〔信仰〕によって、語っています。
5 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、エノクは死を見ないように移されました。そして「神が彼を移されたので、彼は見つけられなくなりました」。なぜなら、移される前から「彼は神に喜ばれていた」と証しされていたからです。
6 実に、信仰によらなければ、神に喜んでいただくことは不可能です。なぜなら、(自ら)進んで神に近づこうとする者は、神に求める者に神は報いてくださる方であり、(今後も)報いてくださる方だと信じなければならないからです。
7 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、ノアはまだ見えない事柄について、御告げを(神から)受けた時、神を恐れつつ、箱舟を備え、その結果彼は家族を救いました。信仰によって彼は、世(の不信仰)を裁き、信仰による義の相続者になりました。
 8 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕アブラハムは、召しを受けた時、相続地として受け取るべき地に向かって行けとの命令に従い、自分がどこに向かうのかを知らずに出て行きました。
9 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、彼は約束の地で、同じ約束(の地)を共に相続するイサクやヤコブと共に、テントに住みながら、外国人として寄留生活をしました。
10 彼は、神によって設計され、建築された、堅い基礎の上に建てられている都を待ち望み続けていたのです。
11 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、サラの年も過ぎていたにもかかわらず、子を宿らせる力を受けました。約束してくださった方を真実な方と判断していたからです。
12 ですからこの一人から、しかも死んでいるような人から、天の星のように多くの、そして浜辺の砂のように数多くの者たちが生まれたのです。
 13 これらの人々は全て信仰にふさわしく(生きて)死にました。約束のものを得ませんでしたが、それらを遠方から見つつ、かつ喜び迎えつつ、地上では寄留者であり、旅人であると告白しながら(死にました)。
14 なぜなら、彼らは、そのように言い表すことによって、故郷を切に求めていることを明らかにしているからです。
15 そして、もし実際に、彼らが出て来た所を思い出していたのであれば、彼らには帰る機会があったことでしょう。
16 しかし、彼らは、天に属するはるかにすばらしい故郷を熱望していたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。実に、神は彼らのために都を用意されました。
 17 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕アブラハムは、試みられながら、イサクを献げています。約束を受けていた彼が、そのひとり子をいけにえとして献げようとしたのです。
18 このイサクについて「イサクから出る者があなたの子孫である」と語られましたが、
19 彼は、神が死者たちの中から(人を)よみがえらせることがおできになると認めていたのです。実に彼はそこから〔死者たちの中から〕彼〈イサク〉を型として取り戻したのです。
20 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、実にイサクは来るべき事柄についてヤコブとエサウを祝福しました。
21 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、ヤコブは死ぬ時、ヨセフの子ら一人ひとりを祝福しました。そして彼の杖の先で〔杖に寄りかかって〕、礼拝しました。
22 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、ヨセフは(生涯の)終わりにイスラエルの子たちの(エジプトからの)出国について覚えさせ、彼の骨について命令しました。
23 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、モーセは生まれた後、三ヶ月間、彼の両親によって隠されました。彼らが、その子の美しいのを見たからです。そして、彼らは王の布告を恐れませんでした。
24 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕、モーセは成人した時、パロの娘の子と呼ばれることをさげすみました。
25 しばらくの間、罪を楽しむよりも、むしろ神の民と共に苦しむことを選び取ることによってです。
26 彼はエジプトの宝よりも、キリストの(型として受ける)非難をより大きな富と確信したのです。彼は(エジプトの宝から目を離して)報いに目を向けていたのです。
27 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕彼は、王の激怒を恐れずにエジプトを離れました。なぜなら、見えない方をしっかりと見続けていたからです。
28 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕彼は、殺す者が彼らの初子に手を触れないように、過越を行い、血を塗りました。
29 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕彼らは、乾いた地を渡るように、紅海を渡りました。それを試みたエジプト人は海に飲み込まれました。
30 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕エリコの城壁は、人々が七日間その周囲を回った後で倒れました。
31 信仰によって〔または、信仰ゆえに〕遊女ラハブは、偵察たちを平和に迎え入れたために、不従順な者たちと共に滅びませんでした。
 32 これ以上何を言いましょうか。ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル、また預言者たちについて語るなら、私にいくら時間があっても足りないでしょう。
33 彼らは信仰を通して国々を征服し、正義を行い、約束のものを得、ライオンの口〈牙〉をふさぎ、
34 火の力を消し、剣の刃を逃れ、弱い者から強い者にされ、戦いの勇士となり、外国の軍隊を敗走させました。
35 婦人たちは彼らの死者たちをよみがえらせてもらい《復活によって受け取り》ました。しかし、他の者たちは、さらにすばらしい復活を得るために、釈放を受け入れずに鞭打ちの死刑を受けました。
36~38 他の者たちは嘲りと拷問の試練を受け、更に鎖に繋がれ、牢に入れられました。彼らは石で打たれ、試みられ、のこぎりで引かれ、剣で切り殺され、羊や山羊の毛皮を着て歩き回り、欠乏し、苦しめられ、悪者にされ──この世は彼らにふさわしくありませんでした──荒野、山の中、ほら穴、地の穴をさまよい歩きました。
 39 そしてこれらの人々の全ては、信仰によって証されましたが、約束のものを(天に)持ち帰ることはありせんでした。
40 それは、神が私たちのために、さらに優れたものをあらかじめ備えておられたからです。それで、私たちを差し置いて、彼らが完成されることはなかったのです。

第12章

1 まさにこういうわけで、私たちは、証人の雲〔雲のように多い証人たち〕に取り囲まれているのですから、全ての重荷と、すぐに絡みつく罪を捨て去り、私たちの前に置かれている競争を忍耐深く走り続けようではないですか。
2 信仰の第一人者、完走者であるイエスにしっかりと目を留めつつ、そうしましょう。この方はご自分の前に置かれた喜びをかえりみず、辱めを問題とせず、十字架を耐えられました。こうして、神の御座の右に着座しておられます。
3 というのも、ご自身に対する罪人らによるこのような反抗を耐え忍び続けられた方を十分に研究しなさい。そうすれば、疲れ果てて、精神的に弱ってしまうことはないからです。
 4 あなた方は今まで、罪に対して苦しみ戦って、血を流すまで抵抗したことがありません。
5 そして、あなた方に対して、主が息子に対するように(十分に)語られたこの勧めの言葉を忘れてしまっています。
 「私の子たちよ、主の訓練を軽く見てはならない。
  また主によって懲らしめられても気を落としてはならない。
6 主はその愛する者を懲らしめ、
  主が受け入れる全ての子を鞭打たれる。」
7 訓練として耐えなさい。神はあなた方を息子として取り扱っておられます。父が懲らしめない息子がいるでしょうか。
8 もし、あなた方が、全ての者が受けている訓練を受けていないなら、それこそあなたは息子ではなく、奴隷の子です。
9 さらに私たちには、しつけてくれた肉の父がいて、しかも(彼らを)尊敬していました。では一層深い尊敬をもって、霊の父に服従して生きるべきではないでしょうか。
10 肉の父はしばらくの間、自分の考えに従ってしつけましたが、他方、霊の父は私たちの益のために、ご自身の聖さを身に付けさせようとされるのです。
11 どんな訓練も、今は喜びには見えず、かえって悲しみに見えますが、後になると、それによってよく鍛えられた者に、平和な義の実を結ばせます。
 12 ですから、あなた方の萎えている手と麻痺している膝を再び真っすぐにしなさい。
13 あなた方の足のために道を真っすぐにしなさい。麻痺したその足が道から外れず、むしろ癒されるためです。
 14 全ての人との平和を追い求め続け(特に)聖さを追い求めなさい。聖さなしには誰も主を見ることができません。
15 誰も神の恵みに達し損なう者がないように、また何か苦い根が生えて、混乱を起こし、それによって多くの者が汚されることがないようによく見守りなさい。
16 また誰も、一杯の食物の代わりに自分の長子の権利を売ったエサウのような、不品行で不敬虔な者にならないように。
17 というのは、あなた方は、彼が後になって祝福を相続したいと願ったけれど拒まれたことも知っているからです。涙を流して(父に)心を変えてもらいたいと求めましたが、無駄でした。
 18 なぜなら、あなた方が到達したのは、手で触れられる(山)、燃える火、暗闇、黒雲、つむじ風、
19 ラッパの響き、御言葉のとどろきではなく──それを聞いた者たちは、それ以上一言も付け加えないように願いました。
20 なぜなら、彼らは「この山に触れるものは、獣であれ石で打ち殺せ」という命令に耐えられず、
21 その光景があまりにも恐ろしく、モーセは「私はひどく恐れ、震えています」と言ったからです──。
22 むしろ、あなた方が到達したのは、シオンの山(のような場所)、生ける神の都である天上のエルサレム、無数の御使いたちの集団から成る大祝会、
23 天に登録されている長子たちの教会、全ての者の審判者であ神、(信仰の道を)完走した義人たちの霊、
24 新しい契約の仲介者イエス、アベルの血よりも良いことを語る注ぎの血だからです。
 25 あなた方は語っておられる方を拒まないように注意しなさい。なぜなら、地上で警告をした方を拒んだ時に、拒んだ者たちが逃れられなかったのだから、まして私たちが、天から警告しておられる方から離れ去るなら、裁きを免れることなどあり得ないからです。
26 あの時、御声が地を揺り動かしました。しかし今、主は「私はもう一度、地だけでなく、天をも揺り動かす」と語って約束しておられます。
27 それで、この「もう一度」という言葉は、造られた物、すなわち揺り動かされる物が取り除かれ、揺り動かされない物が残ることを宣告しています。
28 ですから、揺り動かされない御国を受けようとしている私たちは、恵みをいただき、その恵みによって、敬虔さと恐れをもって、神に喜ばれるように仕え続けましょう。
29 なぜなら、実に私たちの神は焼き尽くす火だからです。

第13章

 1 兄弟愛を保ち続けなさい。
2 旅人をもてなすことを忘れてはいけません。それによってある人々は知らずに御使いたちをもてなしました。
3 牢に捕らわれている者たちを、あなた方も彼らと一緒に捕らわれているように思いやり、あなた方自身も同じように肉体を持っているのですから、苦しめられている者たちを思いやりなさい。
4 全ての者たちの間で、結婚が重んじられるようにしなさい。寝床を汚してはいけません。神は不品行な者たちや姦淫を行う者たちを(必ず)裁かれます。
5 今持っている物で満足して、金銭欲のない生活をしていなさい。それは主ご自身が「私は決してあなたを離れず、決してあなたを見捨てない」と言われたからです。
6 そこで私たちは大胆に言います。「主は私の助けです。私は恐れません。人が私に何ができましょうか。」
7 神の御言葉をあなた方に語ったあの指導者たちのことをいつも覚えていなさい。彼らの生活の結果をよく観察して、彼らの信仰に見習い続けなさい。
8 イエス・キリストは昨日も今日も、永遠に同じです。
9 様々な種類の聞きなれない教えに惑わされてはいけません。なぜなら、食物の規定によってでなく、恵みによって心が強められることは良い事であり、食物の規定によって生活した者は益を受けなかったからです。
10 私たち〔ユダヤ人〕は祭壇を持っています。幕屋で仕えている人々はそこから食べる権利を持っていません。
11 なぜなら、罪のためのいけにえの動物は、大祭司によって血が聖所の中に運ばれますが、体は宿営の外で焼かれるからです。
12 ですから、イエスもご自分の血によって民を聖別するために、門の外で苦しまれました。
13 そのように私たちも、彼〈主イエス〉の辱めを負って宿営の外に出て、彼〈主イエス〉のおられる所に行こうではないですか。
14 なぜなら私たちは、この地上に永遠の都を持っているのではなく、むしろ来るべき都を求めているからです。
15 ですから、彼〈キリスト〉を通して、神に賛美のいけにえを常にささげ続けようではないですか。これは彼〈キリスト〉の御名を告白するくちびるの果実です。
16 善行と持ち物を分かち合うことも忘れてはいけません。そのようないけにえを神は喜ばれるからです。
 17 あなた方の指導者たちの言うことにいつも聞き従い、従順でありなさい。それは彼らが(あなた方についての)報告書を(神に)提出すべき者として、あなた方のたましいの益のために見張っているからです。彼らがこのことを喜んでできるようにし、嘆かせてはいけません。それはあなた方の益にはなりません。
 18 私たちのために祈り続けてください。私たちは全ての点で立派に振る舞いたいと願っていますし、良き良心を持っていると確信しています。
19 特に、私ができるだけ早くあなた方と(の交わりを)回復できるように、一層強くお願いします。
20 平和の神、すなわち羊の大牧者である私たちの主イエスを、永遠の契約の血によって死者たちの中から引き上げられた方が、
21 イエス・キリストを通して、神の御前で、御心にかなうことを私たち(とあなた方)のうちに行い、神の御旨を行わせるために、あなた方を全ての良い物をもって完全に備えてくださるように。キリストに栄光が世々限りなくあるように。アーメン。
 22 兄弟たちよ、あなた方にお願いします。この勧めの言葉を受け入れてください。私はあなた方に手短に書きました。
23 私たちの兄弟テモテが釈放されたことを知ってください。もし、より早く彼が来るなら、私は彼と一緒にあなた方に会えるでしょう。
24 あなた方の指導者たち全員と、全ての聖徒たちに挨拶を送ります。イタリアから来た人たちが、あなた方によろしくと言っています。
25 恵みがあなた方全てと共にあるように。