テモテへの手紙第I

1

  1.  私たちの救い主なる神と私たちの望みであられるキリスト・イエスとの命令による、キリスト・イエスの使徒パウロから、
  2. 信仰による真実のわが子テモテへ。父なる神と私たちの主であるキリスト・イエスから恵みと憐れみと平安が(あなたの上に)ありますように。
  3.  私はマケドニアに向けて出発する前に、あなたにエペソに留まり続けるように願いました。それは、あの者たちに異なることを教えないようにと、
  4. また、彼らに伝説と決着の付かない系図の問題に気を取られないようにと、あなたに命じてもらうためでした。それらのものは、神から与えられた(家令としての)任務を信仰によって実行させるよりも、むしろ議論を引き起こします。
  5. この命令の目的は、汚れのない心と正しい良心と演技のない信仰とに基づく愛です。
  6. ある者たちは、それらから目を離したため、横道にそれてしまい、くだらない話をするようになってしまいました。
  7. その者たちは、律法の教師でありたいと願っているために、自分たちが何を語っているのかも、またどんな事柄について強く主張しているのかも悟っていません。
  8.  しかし、私たちは、律法が、もし人がその目的を弁えて、それを自分のために正しく使用するならば、役に立つものであることを知っています。
  9. 私はこのことを知っています。律法は、義人のために与えられているのではありません。律法は、無法者たちと不従順な者たちのために、不敬虔な者たちと不道徳な者たちのために、神聖を汚す者たちと卑俗な者たちのために、父親殺したちと母親殺したちのために、人殺したちのために、
  10.  不潔な者たち、男色を行う者たち、誘拐する者たち、嘘をつく者たち、偽りの誓いを立てる者たちのために、すなわち私に委ねられている、祝福に満ちた神の栄光の福音による健全な教えに反する全ての者たちのために与えられているのです。
  11.  私は私の内に力を与えてくださった私たちの主なるキリスト・イエスに感謝しています。それは、私が以前、神を冒涜する者、また迫害する者、暴力を振るう者であったにもかかわらず、
  12. 信じていない時に無知でそれらを行ったとして、主は私を憐れみ、私を真実な(信仰)者と認めてくださって、(家令としての)奉仕の働きに任命してくださったからです。
  13. それで、私たちの主の(私への)恵みは、キリスト・イエスへの信仰と愛と共に、十分以上に満ち溢れました。
  14. 「キリスト・イエスは罪深い者たちを救うためにこの世に来られた。」という言葉は、真実であり、全幅の信頼に値します。実に私が罪深い者の筆頭です。
  15. しかし、私が憐れみを受けたのは、キリスト・イエスが、(私を)これから後にご自分を信じて永遠のいのちを受けようとしている者たちのための見本にするためであったのです。そのために、まず私によって(ご自分の)あらゆる寛容さを自ら実証してくださったのです。
  16. 永遠の王、不滅、不可視、唯一の神(でいますキリスト・イエス)に、誉れと栄光が代々限りなくありますように。アーメン。
  17.  私の子テモテよ。私は、以前あなたについてなされた預言に従って、この命令をあなたに委託します。
  18. あなたはそれらの預言に従って、信仰と正しい良心を保って立派な戦いを自ら戦い続けなさい。ある者たちはその正しい良心を捨ててしまったために、信仰に関する破船に遭ってしまいました。
  19. その中にヒメナオとアレキサンデルがいます。私は彼らを、神を冒涜してはならないことを学ばせるために、サタンに引き渡しました。

2

  1.  それで、私が何よりも第一に願うことは、私たちが徹底した敬虔深さと気品の高さとをもって、静かで落ち着いた生活を送ることができるように、
  2. 全ての人のために、王たちのため、権威の座にある人々全てのために、願いと祈りととりなしと感謝とが、常にささげられていることです。
  3. このことは、私たちの救い主である神の御前で良いことであり、みこころに適ったことであるのです。
  4. 神は、全ての人が救われて、真理を十分に知るようになることを求めておられます。
  5. 実に神は唯一です。そして神と人との間の仲介者も唯一です。その仲介者とは人(となられた)キリスト・イエスです。
  6. キリストは、全ての人のためにご自身を贖いの代価としてお与えになりました。(それが)丁度良い時になされた(神の)証言です。
  7. この「証言」のために私は宣教者また使徒として任命されました。──私は真実を言い、嘘は言っていません。──信仰と真理のための〔を教える〕異邦人の教師に任命されました。
  8.  それで、私は、男性たちには、怒らず、口論せずに、あらゆる場所で聖い手を上げて祈るように願います。
  9. 同じように、婦人たちには、礼儀正しい身なりをし、慎みと分別をもって自身を飾るように求めます。髪を編んだり、金や真珠や、高価な着物で飾るのではなく、
  10. 神を恐れ敬っていると公言している婦人にふさわしく、良い行いによって自分を飾りなさい。
  11. 婦人は、静かにして、全き従順をもって学びなさい。
  12. 私は、婦人が男〈夫〉を教えたり、支配することを許しません。静かにしているべきです。
  13. なぜならば、アダムが先に造られ、エバがその後であるからです。
  14. アダムは騙されませんでしたが、彼女は欺かれて罪に陥ってしまいました。
  15. 婦人は、分別をもって、信仰と愛と聖さに留まり続けるならば、子を産むことによって〈エバの堕落の結果であるその欠陥から〉救われます。

3

  1.  「人がもし群れを見守る役につきたいと熱望しているならば、その人は立派な働きを追い求めています。」ということばは真実です。
  2. それで、群れを見守る人は、非難されるところのない人でなければなりません。すなわち、一人の妻の夫であり、自制心のある人、思慮深い人、礼儀正しい人、旅人をもてなす人、教える力のある人、
  3. 酒を慎む人、暴力を振るわない人、思いやりのある人、争わない人、金銭に無欲な人、
  4. 自分の家庭をよく治めている人、あらゆる謹厳さをもって子どもたちを従わせている人でなければなりません。
  5. 自分の家庭の治め方を知らない人が、どのようにして神の教会の世話をすることができるでしょうか。
  6. 初信者はいけません。その人が高慢になって悪魔の〔悪魔と同じ〕さばきに陥らないためです。
  7. またその人は、外部の人々から良い評判を受けていなければなりません。それは、その人が非難を受け、悪魔の罠に陥らないためです。
  8.  執事たちも同様に気品高く、また二枚舌を使わない人で、大酒飲みでなく、金銭に淡泊な人、
  9. きよい良心をもって信仰の奥義を保っている人たちでなければなりません。
  10. それで、まずこの人たちに(皆からの)審査を受けさせなさい。その後に、もし非難されるところがないならば、その人たちに執事の働きを行わせなさい。
  11. 婦人(執事)たちも同じように気品高く、悪口を言わない人、酒を慎む人、また全てのことに忠実な人でなければなりません。
  12. 執事は、ひとりの妻の夫であり、子どもたちと自分の家庭を立派に治めている人たちでなければなりません。
  13. 執事の働きを立派に行った人たちは、自身のために(皆の者からの)すばらしい信頼を獲得します。そしてキリスト・イエスを信じる信仰において強い発言力を得ます。
  14.  私はあなたのところに早く行きたいと願いつつ、これらのことをあなたに書いています。
  15. それは仮に私が遅れても、あなたが神の家でどのように行動すべきかを知っているためです。その神の家とは、生ける神の教会のことであり、それは真理の柱であり土台です。
  16. 実にこの敬虔の奥義は、だれもが認めているように偉大です。「神〈キリスト〉は肉体をとってお現れになった。御霊(の力)によって義とされ〔よみがえらされ〕、御使いたち〔使徒たち〕によって(生きておられることが)認められ、異邦人たちに宣べ伝えられた。そして世界中で信じられ、栄光の中に上げられた。」

4

  1.  後の時代には、ある者たちが人を惑わす霊どもと悪霊どもの教えに心を引かれて、信仰から離れ去ると御霊が明らかに語っておられます。
  2. そのような者たちは、善を装って偽りを語っており、彼らの良心は焼き印を押されてしまっています。〔良心が麻痺させられてしまっています。〕
  3. 彼らは結婚を禁じたり、食物を取ることを禁じたりしています。食物は、神が、信仰者、すなわち真理を知っている者たちによって感謝をもって食されるようにとお造りくださった物です。
  4. 神が造られた食物は全て良いものであり、感謝をもって食するならば何一つ捨てるべきところはありません。
  5. なぜならば、それは神のみことばと祈願によって聖められるからです。
  6.  これらのことを兄弟たちに示して教え続けるならば、あなたは信仰のことばと、あなたが今まで従って来た良い教えのことばによって養われて成長し、必ずキリスト・イエスの良い奉仕者になります。
  7. 卑猥でばかばかしい世間話をいつも避け、敬虔さを得るために自分自身を訓練し続けなさい。
  8. 肉体の訓練も少しばかり有益です。しかし、今の生涯と来るべき世でのいのち(の幸い)を約束している敬虔はあらゆることにおいて有益です。
  9. このことばは真実であり、全き是認をもって受け入れるべきです。
  10. 私たちはこのことのために労苦し、苦闘しているのです。なぜならば私たちは、全ての人々の、特に信じる人々の救い主でいます生ける神に望みを置いているからです。
  11.  これらのことを命じ、また教え続けなさい。
  12. だれにもあなたの年の若さを侮らせてはなりません。反対に、ことばにおいて、態度において、愛において、信仰において、聖さにおいて信者たちの模範であり続けなさい。
  13. 私が(そちらに)行くまで、聖書の朗読と勧めと教えに専念し続けなさい。
  14. 長老たちの按手と共に、預言を通してあなたに与えられて〔今〕あなたの中にある神からの賜物〔カリスマ〕を軽んじていてはいけません。
  15. これらのことに注目し続けなさい。これらのことに思いを集中し続けなさい。そうすればあなたの進歩は全ての者に明らかになります。
  16. あなた自身に気を配り、そして教えることにも気を配りなさい。それらをし続けなさい。なぜならば、このことを行っているならば、あなたは自分自身とあなたの教えを聞いている人々を(必ず)救うことになるからです。

5

  1.  老人を叱りつけてはいけません。むしろ父親に対するように勧めなさい。青年たちを兄弟のように訓戒しなさい。
  2. 年配の婦人を母親のように、青年の女子を、姉妹のように全き清純な心をもって訓戒しなさい。
  3.  真のやもめを敬いなさい。
  4. しかし、もし、やもめが息子、あるいは孫を持っているならば、彼らにまず自分の家族を大切にし、親の恩に報いるべきであることを学ばせなさい。それが神の御目に適っていることです。
  5. 真のやもめで、身よりのない人は、神に望みを置き、日夜神に願いと祈りをささげ続けています。
  6. しかし、享楽にふけっているやもめは生きていても、すでに死んでいます。
  7. 彼女たちが非難されるところのない者であるように、これらのことを(常日頃)、厳しく言い続けなさい。
  8. しかし、もし自分の身内の者を、ことに自分の家族を世話しない者がいるならば、その人は(キリスト)信仰(者としての歩み)を否定してしまっており、不信者よりも劣っています。
  9. やもめとして登録されるべき婦人は、六十歳以下の者ではなく、ひとりの夫の妻であった者であり、
  10. 良い行いによって良い評価を受けている者のみです。すなわち子どもを育て、旅人を良くもてなし、聖徒たちの足を洗い、困っている人々を助け、あらゆる良い働きに励んだ人であることが条件です。
  11. それで若いやもめは(登録を)断りなさい。彼女らはひとたびキリストに背いて情欲に引かれだすと、結婚を求めるようになり、
  12. 初めの忠実さを捨てたということで非難されることになります。
  13. その上、彼女らは怠けることを覚えて家々を歩き回ります。さらに怠けるだけではなく、無駄口を語り、何にでも頭を突っ込み、語ってはならないことも語るようになります。
  14. ですから、私は、若いやもめが結婚し、子どもを産み、一家の女主人としての役を果たし、反対者たちに悪口を言う機会を何一つ与えないことを願います。
  15. なぜならば、すでにサタンに従って迷い出て行ってしまった者たちがいるからです。
  16. もしやもめたちに(家族内に)信仰のある婦人がいるならば、その婦人に彼女らの世話をさせなさい。そして教会に重荷を与えてはいけません。それは、教会が本当のやもめたちの世話をするためです。
  17.  立派に指導の務めを果たしている長老たちは、二倍の尊敬を受ける価値があると見なしなさい。ことに、みことばを語ることに、また教えることに労苦し続けている長老たちはなおさらそうです。
  18. 実に聖書も「脱穀している牛に口籠を掛けてはいけない。」、また「働き人は報酬〈食べ物〉を受けるにふさわしいからです。」と語っています。
  19. 長老に対する訴えは、二人か三人の証人の面前でのみ受け入れなさい。〔それがないならば受け入れてはいけません。〕
  20. 罪を犯し続けている者を全ての者の前で戒めなさい。それは他の全ての者にも恐れを持たせるためです。
  21. 私は、神でいますキリスト・イエスと選ばれた御使いたちとの前で、(あなたに)厳かに命じます。これらのことを偏見なしに励行しなさい。全てのことを公平に行いなさい。
  22. だれの上にも性急に手を置いては〔だれをも性急に長老に任命しては〕いけません。他人の罪に関わりを持ってはいけません。あなたは自分自身を純潔に保ちなさい。
  23. これからは水ばかりを飲み続けないで、胃とたびたび起こるあなたの病気のために少量のぶどう酒を用いなさい。
  24.  ある人たちの罪は、さばきに先立って人々の目に明らかになります。しかし、ある人たちの罪はさばかれてから明らかになります。
  25. 同じように、実に、良い働きも人々の目に明らかです。しかし、そうではなく隠されているものも、隠され続けることはできません。

6

  1.  くびきの下にいる全ての奴隷である方々よ。あなたがたは、自分の主人たちをあらゆる尊敬を受けるに値する人々であると見なしてください。それは、神の御名と教えが誹られないためです。
  2.  信者である主人を持っている人々〈奴隷〉は、自分の主人が兄弟であるからといって軽んじてはいけません。むしろ、その良い働きから利益を受ける人々が信者であり、愛すべき人々であるのですから、なおさら心を込めて彼らに仕えなさい。これらのことをあなたは教え、勧めなさい。
  3. もし、異なることを教え、また私たちの主イエス・キリストの健全なことばと敬虔に至らせる教えとに同意しない者がいるならば、
  4. その者はのぼせ上がっているのであり、何も分かっていないのです。その人は、嫉妬心、争い、罵り、邪推の生じる源である議論と論争の精神病に罹っています。
  5. 心が完全に腐ってしまっている人々、真理(の知識)を全く奪われてしまっている人々、敬虔を金儲けの手段と考えている人々から絶え間のない論争が(生じます)。
  6. しかし、満足できる敬虔こそ、大きな利益を得る手段です。
  7. なぜならば、私たちは何一つこの世に持って来なかったし、また何一つ持って出ることもできないからです。
  8. しかし、もし食べ物と衣服があるならば、私たちは、それらで満足していましょう。
  9. 金持ちになりたがっている者たちは、その者たちを破滅と滅びに落とし込む誘惑と罠と、多くの愚かで有害な情欲の落とし穴に陥ります。
  10. なぜならば、金銭を愛することがあらゆる悪の根〈源泉〉であるからです。ある者たちはそれを追い求めたため、信仰の道から迷い出てしまいました。そして、自分自身をひどい苦痛をもって刺し通してしまいました。
  11.  しかし、神の人よ。あなたはこれらのことを避け続けなさい。そして義、敬虔、信仰、愛、忍耐、柔和を追求し続けなさい。
  12. 信仰の戦いを立派に戦い続けなさい。そして永遠のいのちを獲得しなさい。そのことのためにあなたは召されたのであり、多くの証人たちの前で、立派な告白をしました。
  13. 私は、全てのものにいのちを与える神と、ポンテオ・ピラトの面前で立派な告白を厳かに断言されたキリスト・イエスとの御前であなたに命じます。
  14. 私たちの主、イエス・キリストの現れ〈再臨の日〉まで、この命令を汚れなく、また非難されるところがないように守り通しなさい。
  15.  祝福に満ちた唯一の主権者、王の中の王、主の中の主、近寄りがたい光の中に住まわれ、人間の中のだれ一人見たことがなく、だれ一人見ることができない、
  16. 唯一不死を保っておられる御方〈イエス・キリスト〉が、ご自身の最も良いと思われる時に、それ〔再臨〕を現してくださいます。誉れと永遠の主権はこの御方のものです。アーメン。
  17.  今の世で富んでいる者たちに、誇り高ぶらないように命じなさい。また頼りにならない富に望みを置くことをきっぱりと止めるように命じなさい。むしろ私たちに全てのものを豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように、
  18. そして、慈善を行い、良い働きに富むように、喜んで恵みを施し、恩恵を施す人であるように命じなさい。
  19. そして、彼らが真のいのち〔真に価値あるいのち〕を捕らえるために、未来の世に向けて、自分自身のための良い基礎を整えるように命じなさい。
  20.  テモテよ。あなたに委ねられているものを守りなさい。不敬虔な空論、すなわち誤って「知識」と呼ばれているものからの反対論を避けなさい。
  21. それを主張しているある者たちは、信仰に関しての目標を見失ってしまっています。あなたがたの上に(神の)恵みがありますように。

テモテへの手紙第II

1

  1.  キリスト・イエスにあるいのちの約束に従って、神のみこころによって(任命された)キリスト・イエスの使徒パウロから、
  2. 愛する子テモテへ。恵み、憐れみ、平安が、父なる神と私たちの主キリスト・イエスから(あなたの上にありますように)。
  3.  私は、夜昼、絶え間なく、あなたのことを祈りの中で思い出しながら、先祖以来きよい良心をもって仕えている神に感謝しています。
  4. 私は、あなたの涙を覚えています。それで喜びで満たされたいので、あなたに会うことを切に願っているのです。
  5. 私はあなたの偽りのない信仰を思い出しています。それは最初あなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとの中に宿りました。それで私は、あなたの中にもそれが宿っていると確信しています。
  6. その理由で私は、私があなたに按手したことによってあなたの中にある(ことが証された)神からの賜物〔カリスマ〕を、もう一度燃え上がらせるように、あなたに(以前のことを)思い出させます。
  7. 神は、私たちに臆病の霊ではなく、力と愛と慎みの霊を与えてくださいました。
  8. それで、あなたは、私たちの主を証することと、主の囚人である私を恥じてはいけません。むしろ神の御力に従って福音宣教のために(私と共に)苦しみを忍んでください。
  9. 神は私たちを救い、聖なる招きによって召してくださいました。それは私たちの働きに従ってのことではなく、永遠の時間が始まる前に立てられた神ご自身の計画と、キリスト・イエスによって私たちに与えてくださった恵みに従ってのことです。
  10. そして、その恵みは、今の時代に私たちの救い主キリスト・イエスの出現によって公に示されました。彼〈キリスト〉は、死の支配を無効にし、福音によっていのちと不滅を明示されました。
  11. 私はそのこと〈福音〉のために宣教者、使徒、そして教師に任命されました。
  12. その理由で、私は、実にこのような苦しみを経験しているのです。しかし、私はそれを恥とはしていません。なぜならば、私は、私が信じてきた御方を知っているからです。そして私はその御方が、私に委ねられたものを彼の日に至るまで守ることができる御方であられることを十分に確信させられています。
  13. あなたは、私から(個人的に)聞いた健全なことばの模範を、キリスト・イエスを信じる信仰とキリストを愛する愛によって、しっかりと保ち続けなさい。〔健全なことばの模範であり続けなさい。〕
  14. (あなたに)委ねられている尊いものを、私たちの中に宿っておられる聖霊によって(決断して)守りなさい。
  15.  あなたは、アジアにいる全ての人たちが私から離れたことを知っています。フゲロとヘルモゲネがその中にいます。
  16. 主がオネシポロの家族に同情してくださるように(祈ります)。なぜならば、彼は私を何回も元気づけてくれました。そして彼は私の鎖〔牢にいる私〕を恥とはしませんでした。
  17. そればかりか、彼はローマにやって来て、並々ならぬ熱意をもって私を捜し、見つけ出してくれました。
  18. 彼の日には、主が彼に主の同情を獲得することをお許しくださるように。彼がエペソでどれほど私を助けてくれたかを、あなたが一番よく知っています。

2

  1.  ですから、私の子よ。あなたはキリスト・イエスにある恵み〈を信じること〉によって(心を)強められていなさい。
  2. そして、多くの証人たちと共に私から(直接)聞いた〔習った〕ことを、他の人たちにも教える力のある忠実な人たちに委ねなさい。
  3. キリスト・イエスの立派な兵士として、(私と)苦しみを(決定的に)分かち合いなさい。
  4. 兵役に服している者はだれでも、兵を招集した者を喜ばせるために日常生活の問題に関わりません。
  5. また、だれでも競技する者は、規則に従って競技しなければ栄冠を受けることができません。
  6. 労する農夫が初めに収穫の分け前にあずかるべきです。
  7. 私が語っていることをよく考えなさい。主はあなたに十分な理解を与えてくださいます。
  8.  あなたは、私の福音が語っているとおり、ダビデの子として生まれ、死人たちの中からよみがえらされたイエス・キリストを(いつも)覚えていなさい。
  9. この福音のために、私は、重罪人のように幾度も投獄されるまで、苦難を忍んでいます。しかし、神のみことばは縛られてはいません。
  10. それゆえ、私は、選ばれた者たちのために、全てのことを耐え忍んでいます。それは実に、彼らもキリスト・イエスにある救いを、永遠の栄光と共に獲得するためです。
  11. 次のみことばは真実です。
    「私たちは、彼〈主〉と共に(一度)死んだ以上、彼〈主〉と共に生き続ける。
  12. もし、私たちが耐え忍ぶならば、彼〈主〉と共に王として(やがて)治める。
    もし、私たちが(仮に)彼を否むようなことがあれば、あの方は私たちを(必ず)否まれる。
  13. たとい私たちが(主に対して)不真実であっても、あの方は(私たちに)真実であり続けられる。あの方はご自分(の真実さ)を否定することができないからである。」
  14.  あなたは、これらのことを彼らに思い起こさせ続けなさい。そして、神の御前において、何の益にもならず、聞く者(の信仰)を破壊するような言葉の争いをしないように彼らを厳しく戒めなさい。
  15. あなたは、自分自身を、真理のことばを順序正しく説明できる、恥じることのない、練達した働き人として神にささげるように熱心に努めなさい。
  16.  不敬虔な、空しい議論を避けなさい。なぜならば、彼らは、その不敬虔さを一層深め、
  17. そして彼らの言葉は癌のように広がるからです。ヒメナオとピレトはその者たちの仲間です。
  18. 彼らは真理から迷い出てしまい、復活はすでに済んでしまったと言って、ある者たちの信仰を覆そうとしています。
  19. それにもかかわらず、神の(真理の)土台は不動です。そしてその土台には次のしるしが記されています。
    「主はご自分の者たちを知っておられる。それゆえ、全て主の御名を呼び求める者は、不義から離れよ。」
  20. 大きな家には、金や銀の器だけでなく、木や土の器もあります。そして、あるものは尊いことのために、また他のものは卑しいことのために(あります)。
  21. それですから、だれでも自分をそれらからきよめるなら、聖別された、またあらゆる良い働きのために整えられて主人のために役に立つ、尊いことのために用いられる器になります。
  22. 若いときの情欲を避け続けなさい。そして、きよい心をもって主を呼び求めている者たちと共に、義、信仰、愛、平和を追い求め続けなさい。
  23. しかし、愚かで無知な論争を拒み続けなさい。それらから争いが生じることをあなたは知っているのですから。
  24. 主の奴隷〈しもべ〉は争ってはなりません。むしろ全ての人に対して温和で、教え上手であり、忍耐深くなければなりません。
  25.  反抗する者たちを、もしかして、神が彼らに悔い改めをお与えになり、真理を十分に理解させてくださり、
  26. そして悪魔の罠から正気に戻され、悪魔に捕らわれていたけれど神のみこころに立ち返らせられることもあり得るという望みを持って、柔和な心で戒めなさい。

3

  1.  このことをあなたは知っておきなさい。すなわち、終わりの日には苦難に満ちた時代が必ず来るということです。
  2. すなわち、人々は、自分を愛する者、金を愛する者、尊大な者、横柄な者、神を冒涜する者、両親に反抗する者、感謝しない者、不潔な者、
  3. 無情な者、和解しない者、ののしる者、自制しない者、粗暴な者、善を好まぬ者、
  4. 人を裏切る者、無分別な者、思い上がった者、神を愛するよりも快楽を好む者、
  5. 敬虔そうな外装はあっても、その実を否定する者になります。あなたはそのような者たちから離れていなさい。
  6. なぜならば、このような男たちの中には、愚かな女たちの家に忍び込み、女たちをたぶらかしている男たちがいるからです。その女たちは、様々の情欲に引き回されて罪の力に圧倒され、抵抗力を失わされてしまって、
  7. いくら学んでも、真理の理解には決して達し得ない者たちです。
  8. このような男たちは、ヤンネとヤンブレがモーセに逆らったように、真理に反逆します。彼らは理性が腐ってしまっている者たちで、(キリスト)信仰に関しては不適格者です。
  9. 彼らはこれ以上、前には進めません。それは、あの二人の愚かさが明らかになったように、彼らの愚かさも全ての人々にやがて明らかになるからです。
  10.  しかし、あなたは私の教えに、指導に、決意に、信仰に、寛容に、愛に、忍耐に従い、
  11. そしてアンテオケとイコニオムとルステラで私にふりかかった数々の迫害と苦難においても私の後に付いて来ました。私は、それらの迫害を耐え忍びました。そして主は私をあらゆる苦難から解放してくださいました。
  12. キリスト・イエスにあって敬虔に生きることを求めている者は全て、迫害を受けます。
  13. しかし、悪人と詐欺師たちは、騙したり騙されたりしながら、一層悪い結果に陥って行きます。
  14. しかし、あなたは学んで確信させられたところに留まっていなさい。あなたは自分がどの人たちから学んだかを知っています。
  15. あなたは幼い時から聖書を熟知してきました。その聖書は、あなたにキリスト・イエスを信じる信仰による救いに至らせる知恵を与えることができます。
  16. 聖書全体には、神の霊が吹き込まれており、教えと戒めと矯正と義による訓練とのために有益です。
  17. それは、神の人が、全ての良い働きのために完全に整えられた完全装備された者となるためです。

4

  1.  神、すなわち、やがて生きている者と死んでいる者とをおさばきになるキリスト・イエスの御前において、その来臨と御国とにかけて私は(あなたに)厳命します。
  2. みことばを(直ちに)宣べ伝え(始め)なさい。時が良くても悪くても(自分の)持ち場についていなさい。寛容さと教えの全てを尽くして譴責し、勧告し、励ましなさい。
  3. 実に、人々が健全な教えに耐えられず、自分の欲望に従って、耳当たりの良い話をしてもらうために自分自身で教師たちを寄せ集めるような時が来ようとしているからです。
  4. その時になると、人々は真理から耳を背け、(人間の都合に合わせた)作り話に向かって(真理の)道から外れてしまいます。
  5. しかし、あなたは、あらゆることにおいて節制し、苦難に耐え、伝道者の働きを行い、あなたの職務を完遂しなさい。
  6.  今や、遂に私は血を注ごうとしています。実に、私が世を去るべき時がすでに来ています。
  7. 私は、良い戦いを戦い終えました。走るべきコースを走り終えました。(キリストへの)忠誠を守り通しました。
  8. 今や、義の栄冠が私のために備えられています。彼の日に、正しい審判者であられる主が、それを私に授けてくださいます。私にだけでなく、主の再臨を熱望していた全ての者にも授けてくださいます。
  9.  私の所に、急いで、すぐに来てください。
  10. なぜならば、デマスが今の世を愛して私を見捨ててテサロニケに行ってしまったからです。クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテアに行っています。
  11. 今ルカだけが私と共にいます。あなたと一緒にマルコを連れて来てください。彼は私の働きのために役に立ちます。
  12. 私はテキコをエペソに遣わします。〔この手紙を持たせて遣わします。〕
  13. あなたが来るとき、私がトロアスのカルポの家に残してきた外套を持って来てください。巻き物〈聖書〉を、特に羊皮紙の物を持って来てください。
  14. 銅細工人アレキサンデルは私に非常な悪意を示しました。主は彼に彼の仕業に従って報いてくださいます。
  15. あなたもこの男を警戒しなさい。なぜならば、彼は私たちのことば〈宣教〉に激しく反対したからです。
  16.  私の最初の弁明においては、だれ一人私の側に立って味方する者はありませんでした。皆が私を見捨ててしまいました。私は、そのことが(罪として)彼ら(の口座)に計上されないように願います。
  17. しかし、主が私とともに立ってくださり、私を力付けてくださいました。それは私によって福音宣教が完全に遂行され、全ての異邦人が(福音を)聞くためでした。そして、私はライオンの口から救い出されました。
  18. 主は私をあらゆる悪の業から救い出してくださいます。そしてやがて主は、天にあるご自身の御国に私を救い入れてくださいます。どうか主に、栄光が永遠から永遠に渡ってありますように。アーメン。
  19.  プリスカとアクラに、またオネシポロの家族によろしく伝えてください。
  20. エラストはコリントに留まっています。トロピモは病気のためにミレトに残しました。
  21. 冬になる前に何とかして来てください。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤ、また全ての兄弟たちが、あなたによろしくと言っています。
  22. 主があなたの霊とともにおられますように。恵みがあなたがたと共にありますように。