ペテロの手紙第I

1

  1.  イエス・キリストの使徒ペテロより、ポント、ガラテヤ、カパドキア、アジア、ビテニアにいる寄留者、選ばれた離散の民へ。
  2. すなわち、父なる神の予定に従い、御霊による聖別によって従順に至らせられるようにと、そしてイエス・キリストの血の注ぎを受けるようにと選ばれた人々へ。あなたがたに恵みと平安が増し加えられますように。
  3.  私たちの主イエス・キリストの父であられる神が誉め讃えられますように。神はご自分の大きな憐れみに従って、私たちを新しく生まれさせて、死者たちの中からのイエス・キリストの復活によって生ける望みを持つ者にならせてくださいました。
  4. あなたがたは、あなたがたのために天に保存されている、朽ちず、汚れない、不滅の相続財産を得るようにと、
  5. 終わりの日に明らかにされるように用意されている救いに至るまで、信仰を通して神の御力によって護られているのです。
  6. あなたがたは、今しばらくの間、どうしても様々の試練によって悲しみを経なければならないにもかかわらず、その救いを大いに喜んでいます。
  7. それは、火によって品質が証明されてもなお朽ちてしまう金の品質証明よりも、はるかに価値のあるあなたがたの信仰の品質証明が、イエス・キリストの現れ〈再臨〉の日に明らかにされ、(神の)誉れ、栄光、そして神への賞賛に至るためです。
  8. あなたがたは、イエス・キリストに一度も会ったことがないけれど、この御方を愛しており、今見てはいないけれど信頼しています。
  9. そして、あなたがたが、信仰の結果としてあなたがたのたましいの救いを報いられているので、言葉では言い表し得ないほどの大きな喜びと、栄えに満ちた喜びで、このことを大いに喜んでいます。
  10.  この救いについて、あなたがたへの恵みについて預言した預言者たちは、彼らの中におられるキリストの霊が、キリストに定められた苦しみと、それらに続く栄光を前もって証された時、
  11. だれについて、またどのような時について明らかにしようとしておられるのかを知るために、詳しく探求し、綿密に調べたのです。
  12. 彼らがそれらのことをしたのは、自分自身のためにではなく、あなたがたのために奉仕をしたのであると、彼らに示されました。そして、それらのことは、天から遣わされた聖霊によって、今、あなたがたに福音を宣べ伝えた人たちを通してあなたがたに宣言されたのです。それらのことは、御使いたちも、はっきり知りたいと切に望んでいることなのです。
  13.  それですから、あなたがたの心の腰をしっかりと引き締め、常に自制しつつ、イエス・キリストの現れの日にあなたがたにもたらされる恵みを、全き心をもって待ち望みなさい〔決定的に待ち望む者になりなさい〕。
  14. 従順な子どもらしく、あなたがたの以前の無知の時代の情欲に(決して)順応してはなりません。
  15. かえって、あなたがたを召してくださった聖なる御方にならって、あなたがた自身も、全ての行いにおいて聖なる者でありなさい。
  16. それゆえに、(聖書に)「わたしが聖であるのだから、あなたがたも聖でなければならない。」と記されています。
  17.  あなたがたは、(人を)各々の行いに従って偏り見ることなくさばく御方を父と呼んでいるのですから、あなたがたの寄留の生活を、恐れをもって過ごしなさい。
  18. あなたがたは、自分が先祖伝来の空しい生き方から贖い出されたのが、銀や金のような朽ちる物によったのではなく、
  19. 傷もなく、汚れもない小羊のようなキリストの尊い血によったということを知っています。
  20. キリストは、世界の創造の前から(そのために)定められていました。そして、この終わりの時に、現れてくださいました。
  21. それは、あなたがたが、キリストを死者たちの中からよみがえらせ、栄光をお与えになった神を、キリストを通して信じる者となるためであったのです。その結果、あなたがたは、今、神を信じ、神に望みを置く者にならせられています。
  22.  あなたがたは、真理への服従によってたましいを清くし、偽りのない兄弟愛を持つに至っているのですから、お互いを熱心に愛し合う者になりなさい。
  23. あなたがたは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち生ける、いつまでも残る神のみことばを通して新たに生まれた者になっているのです。
  24. 「全ての人は草の如く、
    その全ての栄えは草の花の如し。
    草は枯れ、花は散る。
  25. しかし、主のみことばは永久に残る。」
    これこそ、あなたがたに宣教された福音のことばです。

2

  1.  ですから、あなたがたは、全ての悪意とあらゆる偽り、偽善、妬みと、あらゆる悪口を捨て去って、
  2. 生まれたばかりの赤子のように、純粋なみことばの乳を常に切望する者になりなさい。それは、あなたがたが救いに至るまで、それによって成長させられるためです。
  3. あなたがたは、主が恵み深い御方であられることを味わい知ったのですから、
  4. 人間によっては役立たずのものとして捨てられてしまっておられても、神による特選の尊い生ける石でいます主に近づき続けなさい。
  5. そのようにして、あなたがた自身も生ける石として、聖なる祭司である霊の家族に築き上げられて、イエス・キリストを通して、神に喜んで受け入れられる霊のいけにえをささげ続けなさい。
  6. それですから聖書に(次のように)書かれています。「見よ。私はシオンに選ばれた石、尊い隅の頭石を置く。その方に信頼する者は決して辱められることがない。」
  7. ですから、その御方は、信じているあなたがたにとっては尊いのですが、信じていない者にとっては、「建築者たちによって役立たずとして捨てられた石」です。しかし、「この石が隅の頭石とされた」のであり、
  8. また、「障害の石、つまずかせる岩」となられたのです。つまずく者たちは、みことばを信じていないゆえにつまずくのです。彼らはそうなるようにと定められていたのです。
  9.  しかし、あなたがたは、選ばれた一族です。そして、王権を持つ祭司の家族、聖なる国民、神の所有に至るべき民にされました。それは、あなたがたが、あなたがたを暗闇から召し出して、ご自分の驚くべき光の中に招き入れてくださった御方のすばらしさを宣べ伝えるためです。
  10. あなたがたは、以前は神の民ではありませんでしたが、今は神の民です。あなたがたは、以前は全く憐れまれていませんでしたが、今は憐れまれています。
  11.  愛する者たち。あなたがたに勧めます。寄留者、また旅人としてあなたがたは、あなたがたのたましいに戦いを挑んでくる肉欲を遠ざけるべきです。
  12. あなたがたは異邦人たちの中にあって、立派な行いを保ち続けなさい。それは、彼らが、あなたがたを、悪を行う者としてののしっていても、あなたがたの良い行いをよく見て、(神のご配慮による)顧みの日に神に栄光を帰するためです。
  13.  あなたがたは、主のために、人の全ての制度に従いなさい。主権を持っている王に対しても、
  14. 悪を行う者を処罰し、善を行う者を誉めるために王によって遣わされている長官にも(従いなさい)。
  15.  なぜならば、私たちが、自由人として、しかもその自由を悪のための口実として用いずに、かえって神の奴隷として善を行い続けることによって、無知な人々の愚かな口を封じることは神のみこころであるからです。
  16. 全ての人を尊敬しなさい。兄弟たちを愛しなさい。神を恐れ敬いなさい。王を敬いなさい。
  17.  家内奴隷たちよ。あなたがたは、主人たちに尊敬を尽くして服従しなさい。善良な、また思いやりのある主人に対してだけでなく、気むずかしい主人に対しても服従しなさい。
  18. だれかが、神への良心のゆえに不当に苦しめられても、悲しみを耐え忍ぶことは、称賛に値することです。
  19. あなたがたが罪を犯し、そのために拳で打たれた時、たとい(それを)耐えても、何の誉れになるでしょうか。しかし、善を行って、しかも苦しみを受け、それを耐え忍んでいるならば、これは神の御前で称賛されるべきことです。
  20. 実に、キリストは、あなたがたのために苦しまれました。そして、あなたがたがキリストの御足跡に(決定的に)従うように、あなたがたのために模範を残されました。実にこのことのためにあなたがたは召されているのです。
  21. キリストは、一つも罪を犯されませんでした。またキリストの御口に一つの欺きも見出されませんでした。
  22. キリストは、ののしられましたが、ののしり返されませんでした。苦しめられましたが、脅すことをなさらず、正しくさばかれる御方に(ご自身を)委ねておられました。
  23. キリストは木の上で自ら私たちの罪〈複数〉をご自分の身に負われました。それは、私たちが罪〈複数〉の習慣からきっぱりと離れ、(決定的に決断して)義のために生きる者となるためです。この御方の打たれた傷によって、あなたがたは癒されたのです。
  24. あなたがたは、羊のようにさ迷っていました。しかし、あなたがたは、今は、あなたがたのたましいの羊飼いであり、監督者のもとに立ち帰っているのです。

3

  1.  妻たちよ。同じように、あなたがたは自分の夫に服従すべきです。
  2. それは、たといある者たちが、みことばに従わなくても、あなたがた妻たちの神を恐れるきよい行いを観察することによって、みことばによらずに、あなたがたの行いによって獲得されるためです。
  3. あなたがたの飾りは、髪を編んだり、金(の飾り)をつけたり、あるいは(高価な)着物を着るという外面のものであってはなりません。
  4. 柔和で穏やかな精神という朽ちないもので飾られた心を持った内なる人こそ、神の御前で大いに価値があるのです。
  5. 実に、かつて神に望みを置いていた聖なる婦人たちも、このようにして自分たちの夫に服従することによって、自分自身を飾っていました。
  6. そのようにサラは、アブラハムを主と呼んで、彼に服従しました。あなたがたも、善を行い続け、また何ものをも全く恐れずにいることによって、サラの娘にされるのです。
  7.  夫たちよ。同じように、(女性が)自分より弱い器であるという知識に従って妻と共に住み、いのちの恵みを共に相続する者として、(彼女らが)当然受けるべき尊敬を(いつも)払い続けなさい。そうすれば、あなたがたの祈りが妨げられることはありません。
  8.  終わりに(言います)。全ての者が同じ思いになり、同情し合い、兄弟愛を持ち、善意に満ち、謙遜でありなさい。
  9. 悪に対して悪を報いてはなりません。あるいは、ののしりに対してののしり返してはなりません。その反対に、祝福しなさい。なぜならばあなたがたは、祝福を受け継ぐために、実にそのことのために召されているからです。
  10. 「いのちを愛し、幸いな日々を過ごすことを願う者は、舌を悪から引き離し、唇に欺きを語らせてはならない。
  11. 悪から遠ざかり、善を行え。平和を探し求め、それを追い求めよ。
  12. 主の目は義人の上にあり、主の耳は彼らの祈り願いに傾けられている。しかし、主の御顔は悪を行う者に向けられている。」
  13.  あなたがたが熱心な善行者であるがために、あなたがたに害を加える者がいるでしょうか。
  14. いや、たといあなたがたが義のために苦しめられることがあっても、幸いです。彼らを恐れてはなりません。また少しも動揺してはなりません。
  15. あなたがたは、心の中でキリストを主としてあがめる者でありなさい。あなたがたの中にある希望についてあなたがたに説明を求める人々全てに、常に弁明する備えをしていなさい。
  16. しかし、柔和さと(神への)恐れとともに、正しい良心を保っていなさい。そうすれば、あなたがたのキリストにある良い行状をののしっている者たちは、あなたがたがののしられている間でも、(必ず)恥じ入ります。
  17. 神のみこころなら、善を行って苦しめられることのほうが、悪を行って苦しめられることより優れています。
  18. それゆえ、実にキリストは一度、(私たちの)罪〈複数〉のために苦しまれました。正しい方が悪い人たちのためにです。キリストは、肉体において殺され、御霊(の力)によって生かされ〔よみがえらされ〕ました。そのようにして、あなたがたを神に導くためでした。
  19. その霊で〔御霊の形で〕キリストは、獄の中の霊たちのところに行かれ、宣言されました。
  20. (しかし)彼らは、その時〔キリストが御霊の形で語られた時〕、すなわちノアの時代、箱船が造られていた間、神が忍耐して待っておられた時に、服従しませんでした。その箱船の中に僅かの者が(入って)、──これは八名です。──水を通って救われました。
  21. 水が型として表しているバプテスマは、──それは肉体の汚れを取り除くものではなく、神への正しい良心の要求です。──今日、イエス・キリストの復活(の力)によってあなたがたを救います。
  22. イエス・キリストは、天に行かれ、御使いたちと権威と権力とをご自身に従えて、今、神の右の御座におられます。

4

  1.  それで、キリストは肉体において(一度)苦しまれました。それゆえあなたがたも、肉体において苦しまれたこの御方が、罪(の支配)を終わらせてしまわれたという心構えで武装しなさい。
  2. それはあなたがたが、もはや人間的情欲によらず、残りの肉体の時間を神のみこころによって生きるためです。
  3. 私たちは、過ぎ去った時、異邦人たちの好みである好色、肉欲、酔酒、祭り騒ぎ、酒盛り、忌むべき偶像礼拝に深入りして、もう十分にやったのです。
  4. それゆえ(彼らは)あなたがたが自分たちと同じ、度を過ごした放蕩に共に走らないので、あなたがたをののしりながらも、不審に思っています。
  5. 彼らは、生きている者と死んでいる者とをさばく備えをしておられる御方に申し開きをしなければなりません。
  6. 実に、(今)死んでいる者たちが、人間の宿命に従って、肉体においてはさばかれても、神(の力)に基づいて、霊において(今)生きるために、彼らにも、福音が宣べ伝えられたのです。
  7.  全てのものの終わりがすでに来ています。ですから思慮深くありなさい。また身を正して祈りに専念しなさい。
  8. まず、全てに先立って、お互いへの熱い愛を持ちなさい。なぜならば愛はおびただしい数の罪を覆うからです。
  9. 不平を言わずに、お互いに対して思いやり深く親切でありなさい。
  10. 各々が賜物を受けているのですから、神からの様々の賜物の良い管理者として、お互いのためにそれを役立たせなさい。
  11. もし(みことばを)語るならば、神からのみことばにふさわしく語りなさい。奉仕をするならば、神がお与えになる力によって奉仕しなさい。それは、あらゆることにおいて、イエス・キリストによって神に栄光が帰せられるためです。栄光と力は、代々限りなくイエス・キリストのものです。アーメン。
  12.  愛する者たちよ。あなたがたの間に、あなたがたを試みるために起きる激しい試練を、あなたがたにとって予期せぬ出来事が起きたかのように不審に思ってはなりません。
  13. あなたがたは、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど喜びなさい。そうすればキリストの栄光の現れの日には大喜びすることになります。
  14. もし、あなたがたがキリストの御名のためにののしられているならば、幸いです。なぜならば、(その時)栄光の御霊、すなわち神の御霊があなたがたの上にとどまっておられるからです。
  15. ですから、あなたがたの中には、人殺し、あるいは盗人、あるいは犯罪者として、あるいは扇動者〔テロリスト〕として処罰されなければならない者が一人もあってはなりません。
  16. しかし、もしだれでもクリスチャンとして苦しめられるならば、その人は(それを)恥じてはなりません。その人は、この(クリスチャンという)名によって(苦しめられていることで)神を誉め讃えなさい。
  17. なぜならば、さばきが神の家から始まるときが(来ているからです)。それで、もしそれがまず私たちから(始まるの)であるならば、神の福音を受け入れない者の終わりは何でしょうか。
  18. そして、もしあの義人が辛うじて救われるのであるならば、不敬虔な者、すなわち罪人はどうなるでしょうか。
  19. ですから、神のみこころに従って苦しめられている者たちは、善を行いつつ自らのたましいを真実であられる創造主に委ね続けなさい。

5

  1.  それで、あなたがたの間にいる長老たちに、同じ長老であり、かつキリストの御苦しみの目撃証人であり、やがて現れる栄光に共にあずかる者である私がお願いします。
  2. あなたがたの間にいる神の羊の群れを牧し、見守りなさい。強制されたようにではなく、むしろ神のみこころに従って自発的に、また自分の利益を得ようとする恥ずべき動機からではなく、むしろ心から喜んでしなさい。
  3. 自分に委ねられている群れの上に権力をふるうようにではなく、むしろ群れの模範でありなさい。
  4. そうすれば、大牧者がお現れになった時、あなたがたはしぼむことがない栄光の冠を(当然の報酬として)報いられます。
  5.  同じように、若い人たちよ。あなたがたは長老たちに服従する者でありなさい。そして全ての人々は、お互いに対して謙遜でありなさい。なぜならば、神は横柄な者たちに対して敵対され、謙遜な者に恵みをお与えになるからです。
  6.  ですから、あなたがたは神の力強い御手の下にへりくだりなさい。そうすれば神は、時期が来れば、あなたがたを高くしてくださいます。
  7. あなたがたのあらゆる心配事を神に委ねてしまいなさい。なぜならば、神があなたがたのために配慮しておられるからです。
  8.  身を正し、見張っていなさい。あなたがたの敵である悪魔は、ほえたけるライオンのように食い尽くすものを求めながら歩き回っています。
  9. 世にあるあなたがたの兄弟たちも、同じ苦しみを終わりまで味わわなければならないように定められていることを認めて、あなたがたも悪魔に対して、信仰をもってしっかり立って、対抗しなさい。
  10. 全ての恵みの神、すなわちあなたがたをキリスト・イエスによってご自身の永遠の栄光の中に召し入れてくださった神ご自身が、しばらくの苦しみの後に、(あなたがたを)必ず欠けのない者にし、堅く立たせ、強くし、不動の者にしてくださいます。
  11. 永遠の支配権は神にあります。アーメン。
  12.  私が忠実な兄弟であると認めているシルワノによって、あなたがたに手紙を書きました。手短な言葉によってですが、私は(あなたがたに)お願いし、またそれらが、神の真実な恵みであることを証言しました。その上にあなたがたは、しっかりと立っていなければなりません。
  13. バビロンにあるあなたがたと共に召しにあずかっている集まりがあなたがたによろしくと言っています。また私の息子マルコもよろしくと言っています。
  14. 愛の口づけをもってお互いに挨拶し合いなさい。キリストにあるあなたがた全ての上に平安があるように。

ペテロの手紙第2

1

  1.  イエス・キリストの奴隷〔しもべ〕であり、使徒であるシモン・ペテロから、私たちの神であり救い主でいますイエス・キリストの義(の御業)によって、私たちと同じ尊い信仰を割り当てられた方々へ。
  2. どうか神と私たちの主イエスについての十分な知識に基づいて、あなたがたに恵みと平安がますます豊かにされますように。
  3.  なぜならば、ご自身の栄光と御徳によって私たちを(救いに)召された御方〈主イエス〉についての(経験によって得る)知識を通して、主イエスの神としての御力が、(私たちを)いのちと敬虔に至らせる(ために必要な)全てのものを私たちに与えて下さっているからです。
  4. その全てのことを通して、(実に)尊い、また偉大な約束が私たちに授けられています。すなわちその約束によって、私たちは神のご性質の分有者にされて、この世にある情欲による腐敗から免らせられているのです。
  5. 実に、このような理由があるのですから、あなたがたは、自分の信仰には道徳的卓越さを、道徳的卓越さにはさらに分別を、分別にはさらに節制を、節制にはさらに忍耐を、忍耐にはさらに敬虔さを、敬虔さにはさらに兄弟愛を、
  6. 兄弟愛にはさらに愛を付け加えるように、あらゆる熱意をもって励みなさい。
  7. これらのものが、あなたがたに備わり、さらに豊かになるならば、あなたがたは、私たちの主イエス・キリストを(経験を通して)深く知るということにおいての怠け者とか、実の無い者にはなりません。
  8. これらを備えていない人は、盲目であるため目が見えず、かつての罪〈複数=罪の習慣・行状〉の洗いを受けたことを忘れています。
  9. ですから兄弟たちよ。あなたがたは、自分の召しと選びとを(他の人々に)証明することにますます熱心な者でありなさい。これらのことを行っていれば、あなたがたは決してつまずいて倒れることがありません。
  10. 実にこのようにして、私たちの主であり救い主であられるイエス・キリストの永遠の御国に入る〈歓迎を受ける〉特権があなたがたに惜しげなく与えられます。
  11.  このゆえに、私は、あなたがたが、今持っている真理をよく理解し、すでに堅く立っているのですが、これらのことについてあなたがたにいつも思い出させることをし続けます。
  12.  私は、実に、私たちの主イエス・キリストが私に明らかにしてくださったとおり、私が幕屋を離れることが間近であることを知っているので、この幕屋にいる間中、(これらのことを)思い出させることによってあなたがたを奮い立たせることが正しいと考えています。
  13. あなたがたが、私が世を去った後にもこれらのことを常に思い出すことができるように、私は熱心に努めましょう。
  14.  私たちは、巧みに作り出された作り話に従って、私たちの主イエス・キリストの御力と来臨をあなたがたに知らせたのではありません。実に私たちはその御方の威光の目撃証人とされました。〈目撃証人です。〉
  15. 実に、主が父なる神から栄誉と栄光をお受けになった時、荘厳なる栄光(の中)から、「これは、わたしの子、わたしが愛している者である。わたしはこの者に全く満足している。」という御声が主にかけられました。
  16. 私たちは、聖なる山の上に主と共にいた時、天から語られたこれらの御声を聞いたのです。
  17. さらに、私たちは一層確かな預言のみことばを持っています。あなたがたの心の中に暁の光が輝き、明けの明星が昇る日まで、暗いところを照らすあかりとしてそれに注目していなさい。
  18. 聖書の預言は全て、(預言の筆記者の)個人的解釈からできているのではないということを第一に心得ていなさい。
  19. 預言は決して人間の願望によってもたらされたのではありません。実に、聖霊によって動かされた人たちが、神から(出てきたみことばを)語ったのです。

2

  1.  しかし、あの(イスラエルの)民の中にも偽預言者が出たように、あなたがたの中にも偽教師が必ず現れます。彼らは破壊的異端を密かに持ち込み、自分を贖ってくださった主との関係を否定し、自分自身にすみやかな滅びを来たらせます。
  2. そして多くの者が彼らの放縦に必ず従います。彼らのゆえに真理の道が誹られます。
  3. 彼らは貪欲によって、上手な作り話であなたがたを食い物にします。このような者たちに対するさばきは昔から滞らず行われ、彼らの滅びは引き延ばされません。
  4.  もし神が、罪を犯した御使いたちを赦さず、暗闇の鎖で獄の中に閉じ込め、さばきの時まで監視するために引き渡してしまわれたのであれば、
  5. また昔の世界を赦さず、義(とする神の業)を宣言したノアたち八人を保護し、不敬虔な世界に大洪水による滅びを起こさせられたのであれば、
  6. そして、ソドムとゴモラの町々を将来の不敬虔な者たちへの見せしめとするために跡形もなく灰にして、破壊してしまわれたのであれば、
  7. そして不道徳な者たちの好色の行状によって悩まされていた義人ロトを救い出されたのであれば、
  8. ──彼らの中に住んでいたこの義人は、日々、(彼らの)無法の行動を見聞きして、(彼の)正しい心を苦しめていました。
  9. 主は敬虔な者たちを試練から解放することを決めておられ、悪者たちをさばきの日まで、罰せられるものとして監禁しておくことを決めておられます。──
  10. ましてや汚れた情欲によって肉に従って歩み、(キリストの)主権を侮る者たちに対しては、どれほど(の怒りをもって報いられること)でしょうか。彼らは大胆不敵な者、横柄な者たちであり、(神の)栄光を恐れず、冒涜しています。
  11.  一方、御使いたちははるかに強力で、有能であるのに、主の御前で、彼らに対してののしりの言葉による非難を語るようなことはしません。
  12. しかし、この者どもは、捕らえられて殺されるために生まれた、本能のままに生きている理性のない動物と同じで、知らぬことをののしりながら彼ら自身の腐敗によって必ず滅ぼされます。
  13. 彼らは不義からの当然の報酬である損害を受けさせられています。彼らは昼間から美食を貪ることを楽しみと見なしています。彼らは、自分たちのだましごとを楽しむために、あなたがたと宴席に同席しますが、(あなたがたの間での)暗礁であり、汚れです。
  14. (彼らの)目は色欲で満ちており、罪を休みなく追いかけています。彼らは心の不安定な者たちを誘惑し、(彼らの)心は(取ってはならぬものまで貪る)貪りで習熟しています。実に彼らは呪われた者たちです。
  15. 正しい道を捨てている彼らは迷ってしまっています。不義の報酬を愛したボソル〈ベオル〉の子バラムの道に従って行ってしまいました。
  16. バラムは自身の不法行為を咎められました。ものを言えぬロバが人間の声を発して、この預言者の気の狂った行為を阻止しました。
  17.  この人々は水のない泉、強風に吹き払われる雲のような者たちです。彼らのためには光の全くない暗黒が用意されています。
  18. 彼らは虚栄心から尊大なことを語り、迷いの中の生活から何とか逃れようとしている人々を肉体の情欲によって誘惑しています。
  19. 彼らは、その人々に自由を約束していますが、彼ら自身が肉欲の奴隷です。だれでもそれ〈肉欲〉に征服されているならば、その奴隷にされているのです。
  20. (私たちの)主であり救い主であるイエス・キリストを知ることによって世の汚れから逃れても、その後に再び汚れに巻き込まれ征服されてしまうならば、その人たちの後の状態は以前の状態より一層悪いものになってしまいます。
  21. 彼らにとっては、義の道をよく知った上で伝えられた聖なる命令に背くよりは、それを知らなかったほうが、良かったのです。
  22. 信ずべきことわざである、「犬は自分が吐いた物に必ず戻るものである。」とか、あるいは、「豚は洗われても、自分の糞尿の中で転げ回る。」が、彼らによって実証されているのです。

3

  1.  愛する者たちよ。今、私はあなたがたにこの第二の手紙を書いています。それら〈両方〉の手紙によって私は、あなたがたの純真な心を奮い立たせようとしています。
  2. すなわち、それは、聖なる預言者たちによって、以前に語られたことばと、あなたがたの使徒たちによって語られた、主であり救い主であられる御方の命令とを(あなたがたに)思い出させるためです。
  3. このことを第一に知ってください。それは、終わりの時に、嘲る者たちが、自らの欲望に従って歩みながら、嘲りをもって世に現れるということです。
  4. 彼らは、「彼〈キリスト〉の再臨の約束は何処にあるのか。先祖たちが眠って〔死んで〕から、全てのものは創造の初めのままではないか。」と言っています。
  5. 彼らは、次のことをわざと見過ごしています。すなわち天は昔からあり、そして、地は水から、そして、水を通して神のみことばによって成り立っていました。
  6. その時の世界は、水によって、(洪)水に覆われて滅びました。
  7. しかし、今の天と地は、同じみことばによって、不敬虔な者たちの火によるさばき、すなわち破滅の日まで保たれているのです。
  8.  しかし、愛する者たちよ。あなたがたはこの一つのことを見過ごしてはいけません。それは、主にとっては、一日が千年のようであり、千年が一日のようであるということです。
  9. ある者たちが遅いと思っているように、主は約束(の実行)を遅らせてはおられません。その反対に主は、あなたがたに対して忍耐深くあられ、だれも滅びることを求められず、全ての者が悔い改めに至ることを求めておられます。
  10. しかし、主の日は盗人のように来ます。その日、天は大音響と共に消え去ります。そして、(宇宙を構成する)元素は燃えながら滅ぼされます。そして、地とその中にある(人間の)手の業が暴かれてしまいます。
  11.  これらのもの全てが、このように滅ぼされるのですから、あなたがたは、神の日の到来を待望し、熱心に願望しつつ、行状においてどれほど聖なる者、また敬虔な者でなければならないことでしょうか。その日になると、天は燃え崩れ、(宇宙を構成している)元素は、高熱で溶け去ってしまいます。
  12. 私たちは、神の約束に従って義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいます。
  13.  それですから、愛する者たちよ。これらのことを待ち望みながら、(キリストの再臨の日に)平安のうちに、汚れなく傷のない者として神に見出していただけるように、熱心に努めていなさい。
  14. そして、あなたがたの主の忍耐を救いと考えなさい。実に、私たちの愛する兄弟パウロも、彼に与えられた知識に従ってあなたがたにそのように書いたのです。
  15. それで、彼は、(彼の)全ての手紙の中でこれらのことを語っています。彼の手紙〈複数〉の中には幾つかの理解しにくいものがあります。それで、無知で、心の定まらない者たちが、他の聖書〈複数〉と同じように、彼の手紙〈複数〉をも曲げて解釈して、自分自身を滅びに至らせています。
  16. ですから、愛する者たちよ。あなたがたは、以前から知っているのですから、不道徳な者たちの偽りによって引きずられ、自身の堅実さを失うことがないように気を付けていなさい。
  17. あなたがたは、私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識によって成長し続けなさい。この御方に御栄えが今も、永遠に帰せられますように。アーメン。